「女はみんなジャンヌっていう名前なのよ、それは中世時代の女たちが皆モニックという名前を与えられていたように」。 女はみんな同じだと男は思ってるの? 女が男に比べて存在感が薄いのは何故? 仕事の後、買い物、食事の支度、子供の世話に食事の後片付けをしたらもうくたくた。そして夫には「疲れた顔をするな!」と文句を言われる。3人のジャンヌは、暇あるごとに愚痴をこぼしあう。愚痴だけじゃなく、男たちへの批判もなかなか厳しい。男女平等に不満を持つマッチョな男、マザコンの男、自分の名誉にしか興味を持たない男、会話能力ゼロでセックスにしか興味のない男…だけじゃなく、同性にも手厳しい。 男に捨てられメソメソする女、男以上に男勝りの女、男のいいなりになる従順すぎる女へ「だらしないわね!」と喝(かつ)を入れる。 1976年にマレ地区の小さな劇場で初演されて以来、3人のジャンヌは国内やフランス語圏の国を旅してまわり、10年間に100万人以上の観客を魅了した。今回、この劇の生みの親であるエリアンヌ・ボエリ(演出も)に、ベネディクト・シャルピア、マルト=エレーヌ・ローランという若い世代が加わりジャンヌたちが復活した。歌って踊って泣いて笑って、1時間半の間、3人は息つく間もないほど体当たりの演技でさまざまな「男と女」を演じる。 男女同権が当たり前になった今、昔に比べジャンヌたちの言葉が与えるインパクトは少なくなったかもしれない。ただ時代は変わっても、アダムとイヴの時代から男女の関係はいつの世も同じ、彼女たちのユーモアと生き生きした姿に元気づけられる。(海)
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*Theatre Petit Hebertot : 01.4387.2323 2004年1月3日まで *Theatre de Menilmontant : 15 rue du Retrait 20e 08.2080.0400. 2月28日まで 19~24euros |
●Comme en 14 第一次世界大戦も終わりに近づいた1917年の暮れ、フランスのどこかにある小さな病院の看護婦控え室。看護人員が足りないと嘆くベテランの看護婦、ボランティアで看護活動をする若い女性二人、看護婦とは幼なじみの公爵夫人とその次男が出入りする。看護の手をふと休めれば、いつ終るかわからない戦争への不安や、愛しい人を亡くした悲しみにおそわれる。けれども皆の心には平和への願い、生きる喜び、未来への希望が宿り、クリスマスの日がくる。 戦争というあらがうことのできない出来事の中で個人がどこまで他人を思いやり、人間的に生きられるか、というのがこの劇のテーマになっている。ベテラン看護婦役を演じるマリー・ヴァンソンをはじめ、素晴らしい女優たちの運命に一喜一憂する2時間。演出はイヴ・ピニョ。12/31日迄。 |
*Theatre Pepiniere Opera : 01.4261.4416 |
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Dance | |
●Dumb Type『Voyage』 映像インスタレーション、音楽、ダンスなどさまざまな分野のアーティストたちがひとつの作品を創り上げていくダムタイプの新作。結成当時から彼らはいつも、私たちを取り巻く社会、ひとが個々それぞれの思いをもちながら、そこに人間として在ることを見つめ、話し合い、そこでのアーティストとしての向かい方を問う。これまでの作品、たとえば『S/N』では、人間の相反する、そして付随する立場や感情について、『OR』では、ひとがひとでなくなるとき、存在しなくなる瞬間に対して、『memorandum』では、記憶、まして皮膚感覚での個々の迷宮へ向かっての問い。それは、世界に対してのひとつの願いなのかも知れない。(珠) 3日~6日、9日~13日/20h30 7日/15h30 9/14/18euros |
*Maison des Arts Creteil 01.4513.1919 M。 Creteil Prefecture |
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