●Pourquoi la guerre ? イラク戦争が始まった前日に発行された本書。アメリカについて、イスラム社会について、イラクについて等々、バグダッドに向かって飛び立ったB52の数にまけず多くの本が出版されている中、本書を紹介するのは、これは子供を対象としており、中級程度のフランス語レベルの人にも読めるからだ。 9歳から13歳を主にターゲットとしている本書は、これまでも再婚やいじめ、環境問題などの社会問題をとりあげているシリーズの最新刊。「どうして戦争?」という子供の問いに直接は答えない(誰が答えられよう!?)ものの、子供たちに社会問題に敏感になってもらうこと、そして彼らが独自の判断を持つ助けであることを目的とする。 三部からなる本書では、はじめにフランスの小学生が主人公の短いお話がある。そして、戦争の定義、軍隊、抑止力、軍事産業、テロ、子供と戦争、平和主義など、様々なテーマで戦争が提示される。そして、戦争を舞台にした作品、情報規制や兵役などの法律、孫子からガンジーをへてジオノまで戦争についての哲学や語彙など、一連の資料が挙げられている。 子供向けであるから、きめの細かさ、奥深さなどはないが、子供向けであるのに、実に幅広く戦争について考える材料がとりあげられている。 戦争についてのディスカッションがある語学学校の準備に、フランス語で教育している子供を持つ人に、またはフランス語でものを考えるためにはお勧め。 (樫)
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*Philippe Andrieu(textes) etTchikioto( illustrations), |