●Dictionnaire des onomatopees
「♪♪Viens petite fille dans mon comic strip(お嬢ちゃんおいらのコミックストリップにおいで)」
「♪♪Viens faire des bull’s, viens faire des WIP!(吹き出しをやりにきな、WIP!ってやりにきな)」
「♪♪Des CLIP! CRAP! des BANG! des VLOP! et des ZIP!(CLIP! CRAP!とかBANG!とかVLOP!とかZIP!ってね)」とゲンズブールが歌い、
「♪♪SHEBAM! POW! BLOP! WIZZ!」とブリジット・バルドーが歓喜の声をあげていたのは今からもう30年も前。
日本語の擬態語・擬声語の豊富さに比べて、そしてフランス語自体のなかでも蔑ろにされがちであったonomatopee。
本書はフランス語の擬態語・擬声語の単なる辞書というより、「ELoge des onomatopées」といっていいだろう。核である辞書の部分には文学作品からの例文はもちろん、語源などについての解説がついている。アルファベット順以外にも、動物の声や電気製品の音などのテーマ別の分類、関連文献一覧、そして、ラブレーからドーデやコレットをへてソレルスまでの作品の抜粋からなるonomatopéesのアンソロジーもある。辞書としてはもちろん、読み物としてもおもしろい。
バレンタインデーということで「ちゅー」する音がフランス語ではどうなるか本書から例を見てみよう。「Mff ! smack ! mchch ! pch, pch ! pfu, pfft ! schuip, mum-mum, tchloff !」。フランス式キスがいかに奥が深いか…いや、キスを表現する言葉に代表されるように、フランス語の擬態語・擬声語がいかに豊富かおわかりかな? Salut les amoureux ! (樫)
P.U.F.,
Pierre Enckell et
Pierre Rezeau,
2003, 584p., 32€.