密入国者収容所閉鎖。

 サルコジ内相の着任以来、カレー市近郊サンガット町にある、密入国者収容所の閉鎖賛否論争が高まっていた。
 11月5日、官憲によって同収容所から排除された約1600人の密入国者のうち約百人がカレーの教会を占拠したがそこからも強制排除された。以来、街をさまよう者、海岸にある旧トーチカに籠る者と、サンガットは中東からたどりついた密入国者の英国への脱出口となっていた。
 赤十字が運営するサンガット収容所はもともとはユーロスター建設のために設けられた倉庫で、その後、コソボからの難民を収容した。3年前から密入国手引き人(1人4千~1万ドル)を介して、毎日350~400人のトルコ系クルド人やアフガン人が押し寄せていた。常時約1600人を収容、3年間で約6万人にのぼる。ほとんどが独身男性で、彼らはトラックの荷物の中に隠れ英国にわたることを目指す。大半は学歴があり、75%は紛争や政治的弾圧を逃れてきたという。
 教会から排除された者のうち70人余りが英国行きを諦めフランスに亡命を申請した。が、許可が出るまで1、2年はかかり、全員に出るとはかぎらないのである。残された道は英国潜入かEU諸国での不法滞在しかないわけだ。
 身分証の存在しない英国では英語が多少できればどうにかなり、亡命申請後6カ月から働け、申請中は援助金も出る。磁石に吸い付けられるように、今年前半期だけで5万人余りが亡命を申請している。が、密入国者のパラダイスといわれてきた英国もサルコジ内相の直々の説得に折れたのか、11月7日、下院議会が亡命法改革案を採択した。それによると、入国時に届け出ない者には援助金の給付なし。来年4月からは国連難民高等弁務官事務所が推薦した亡命申請者だけを受け入れ、滞在許可の更新や英国籍取得を厳しくする。また、EU加盟候補国からは亡命する理由がないので、これらの国からの亡命申請はすでに拒否しているという。
 英仏海峡を挟んで責任のなすり合いをしてきた両国内相は12月2日、予定より3カ月早い12月30日にサンガットを閉鎖することに同意した。その条件として、英国は約1600人のうち約1200人のクルド・アラブ系イラク人と英国に親族のいるアフガン人に最低4年の労働許可証を出し、フランス側は残る約400人に滞在許可証を出すことを決定。この決断の快挙にサルコジ内相は意気揚々と、凱旋気分。
 ”終着点”サンガットがなくなっても、英国やフランスが亡命、滞在許可を厳しくすればするほど密入国手引き人たちが暗躍し、彼らのエサになるクルド人やアフガン人、西洋で一旗あげようとやってくる中国人。ルーマニアからフランスに集団で入ってくるロム系ジプシーたちは郊外にスラムを形成しつつあるし…。
 最近計画庁は、戦後ベビーブームの定年時にあたる今日、フランスは就労・非就労人口の均衡を保つためには毎年約12万人、現在認めている移民数より2万人多く受け入れる必要があると報告している。
 スペインは2年前から移民に対し産業別割当を課しているそうだが、フランスも移民受け入れを合理化すべき時期にきているのではないだろうか。(君)



在仏外国人出身地域別割合(’99)
37%  EU圏
30%  マグレブ諸国
9.5% アフリカ
9.5% 東南アジア
7%   東欧
7%   その他
(Libération : 02/11/20)