テクスト – イメージ – 知覚/身体 – ゲイリー・ヒル

 フランス4カ所でゲイリー・ヒルが見られる。
 新スペースLe Plateauの “Maquis” は、南仏のレジスタンスが身を隠した灌木地帯という意味だが、ここでは断言できない概念や場の移り変わり、捉えられない道の意。工事現場の水彩画、微細な差異で蛇行する線、威圧的な音の60分無変化の雪山のヴィデオなど6人のエキジビション。その中のヒルのAccordionsは今年の7月にマルセイユの移民地区で撮影された映像が大プロジェクター6台で大きな音をたてながら激しく点滅する。写されたマグレブの人々の身振りや言葉は点滅のために分析不可能となる。アメリカ人のヒルが今、ヒゲのアラブ人をズームアップする意味を詮索している私は、記号の戯れの中にいる。
 Cnpの “Sans commune mesure” はテクストとイメージの関連を問う。テクスト-イメージの結合はマルチメディア(アート)の仕掛けになった…という。ここではヒルの初期の作品が見られる。大唇が単語を発するMouthpieceは78年作、82-83年作のHappenstanceは文字という形がグニャリと溶け出し流れて木の葉のように落ちてなくなる。時代を彷佛させるMeditationからノンフィクション映画的作品まで、ビデオアートの歴史をみるようだ。他には、ゴダールの短編Cine tract、写真にのせたテクストがイメージを、肉体を、解体するRobert Frankなど。

キューレーターは、像は、言語と共通する規準がない(Sans commune mesure/比べられない)異なった秩序に属しており、「イメージは思考に至る原料を包含している」というアンリ・ミショーの言葉を借りている。日本や中国の書を想わせる絵とも字ともいえない墨の特徴線を綴ったミショーは麻薬を使って、意図から独立した行為=原料、その原料に押し込められた形=イメージ、人格に潜んだ本性、という幻想をひたすら描き続けた。その原料は精錬されて思考となるってことなのか? 日本にみる「認識する主体をもたず同時に認識される客体をもたない認識の行為」は西洋人には想像できないというバルトの言葉にうなずく。(麦)



Mouthpiece, 1978

“Maquis”/Le Plateau : 33 rue des Alouettes 19e 11/24迄 (月火休迄)
“Sans commune mesure”/Cnp H冲el Salomon de Rothschild: 11 rue Berryer 8e
11/19 迄 (火休)
Musee d’art moderne Lille Metropole:
1 allee du musee 59650 Villeneuve d’Ascq
1/19迄 (火休)
Le Fresnoy, Studio national des arts contemporains: 22 rue du Fresnoy
59202 Tourcoing 12/1迄 (火休)


いやいやながら客を入れ…。

 いまだに続くパレ・ド・トーキョーの閑散さの原因は、内装建築費475万ユーロを使ってしまって建築基準に見合った施工ができなくなり、セキュリティー面で警察から許可が下りないままになっているかららしい。今年のはじめに当時の首相や文化相、有名人を迎えてのオープニングでは「アートの実験室 – ラボ。生活、生産、制作の場」として颯爽と紹介されたが、コンサート、ソワレ、ファッションショーなどの人が集まってしまうようなイベント性のある刺激的な催し物はできず、展覧会やビデオの映写だけが今の時点では許可され、月4万5千ユーロの赤字開館を続けている。
 10月2日で終る「パリ・スクワット展」は、不法住居アーティストを迎えた(?)イベントだが、すでに歴史化したムーブメントとして紹介され、当スペースとスクワッターは「許可されてない、金欠」という共通項は持つものの、絵画ひとつ置けず、案内事務所のような機能を果たしているだけ。壁の乏しい写真より共同開催者のwww.artesquats.comwww.palaisdetokyo.comで検索した方が夢がある。キューレーターはやる気を失っているという話だが、ゴソゴソもがいているうちに形になってくるということもある。そこらへんはスクワッターたちのほうがプロだろう。「ルイーズ・ブルジョワ展」(10/8~)に期待しよう。(麦)

2本映写+Louise Bourgeois’s Sunday Salon
Palais de Tokyo, site de creation 
contemporaine :13 av.du President Wilson

16e 12h-0h (月休)


●Max BECKMANN(1884-1950)

神話、古今の物語、現実の現象を混合しながら、個人的経験を超越する形体と意味の本質を表現しようと試みたベックマンの、フランスで初の回顧展。ドイツに生まれ、ナチスの「退廃芸術」迫害を逃れてアメリカに渡った。絵画、版画など160点。1/6迄
ポンピドゥセンター(火休)
●<Les maitres de la lumiere>
美しい自然と豊かな光を描いたカリフォルニア派。1890年から1930年にかけて描かれた、27人の作品約60点。12/14迄
Mona Bismarck Foundation:
34 av. de New York 16e(日月祝休)
●<Manet/Velasquez,
La mani俊e espagnole au XIXe si縦le>
17世紀のヴェラスケスやムリーリョ、スルバラン、また18、19世紀のゴヤなどのスペインの画家は、テクニック、テーマと様々な点で、19世紀半ばの画家たちに多大な影響を与えた。マネ、ドラクロワ、クールベ、ドガなどの作品からその影響を考察する。1/5迄
オルセー美術館(月休)
●Isamu NOGUCHI(1904-1988)

日本とアメリカの間に生き、西洋・東洋の両文化を呼吸したイサム・ノグチ。ファインアートにとどまらず、プロダクトデザイン、舞台・衣装デザイン、造園と、幅広い分野の作品を残した。12/14迄
パリ日本文化会館:
101bis quai Branly 15e(日月祝休)
●<Matisse-Picasso>

1905年のマティス(1869-1954)とピカソ(1881-1973)の出会いは、フォーヴィスム、キュビスムを出発点とした新たな造形表現の始まりとなった。絵画、彫刻は空間に描かれる記号であるとしたふたりの、1906~54年の作品を対峙させる。
1/6迄 グランパレ(火休)
●<Corpus Christi>
Julia Margaret Cameron、F.Holland Day、John Heartfield、W.Eugene Smith、Annie Leibovitzなど、イエス・キリストを主題にした1855年から今日までの写真作品150点。1/5迄
Hotel de Sully : 6 rue St-Antoine 4e(月休)

●FIAC 2002

29回目を迎える現代アートの見本市。今年は世界19カ国から165のギャラリーが集まる。10月24日から28日まで。(23日はプロフェッショナルのみ)

Paris expo: Porte de Versailles 15e


 

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