MENELIK
「エチオピア料理はスパイシーだ」と情報を得たMOPA探検隊5人は、17区のエチオピア料理店MENELIKにやってきた。象形文字のようなエチオピア文字で書かれたメニューに「可愛い!」と奇声をあげる私たちに、ご主人が説明してくれる。「エチオピアでは約200の言葉が話されているように、料理も大変多様。私は生や軽くあぶった肉をエチオピア独特のソースで食べるのが好きですが、人によっては魚を生で食べる。」私たちは辛いエチオピアのソースで和えたタルタルステーキKEFTO、awazeという辛ソースとバターで和えた半生牛肉料理GORED GORED、生の薄切り肉を辛ソースにつけて食べるTRE SEGA、そしてベジタリアン用盛り合わせ、エチオピアおかずセットBEYAYENNATOUを頼んだ。隣のテーブルの大皿を垂涎の思いで眺めつつ、来たるべき料理に胸を膨らませていると…隣よりもさらに大きなお皿がやってきた。ご主人は、ふきんのような、折りたたまれた粟と生イーストでできたクレープ(少しすっぱい)をひきちぎり、大皿の縁に盛り付ける。このクレープでおかずを掴んで食べるのだ。色とりどりのおかずの中で、目立つのは6センチ角に切られた真っ赤な生肉。これにかぶりつくの?という私の不安を打ち消すように、ご主人は肉をナイフで一口大に切り取り、濃茶のどろどろソースにつけてポイ!とMOPA探検隊員ひとりの口に放り込んだ。「辛い?」「いや…あっ、きたきた!結構辛い」こんな調子で、私たちは生やソースに漬け込まれた半生、煮込まれた牛肉、少し辛いトマトソースで煮た魚、豆のペースト、じゃがいもと人参の煮物や、ほうれん草や淡白でやさしい味のチーズに舌鼓を打った。生肉についてきたソースは丁子とコショウの香りと味が強いが、辛さは大したことがない。肉料理用の香辛料は、粉状の乾燥唐辛子にニンニクと塩を入れた、馴染みのあるものだ。全体的に少しだけ辛目、でも自分でソースの量を調節すればもっと辛くなるはず(フランス人用に加減してあるに違いない)と、暑い国の熱い料理を期待してきた私たちは互いを慰めあった。隣のテーブルの生後8ヶ月の子連れのエチオピア人夫婦は「赤ん坊は母親のおっぱいで育つから香辛料には全く抵抗がない、辛い料理だって2歳ぐらいから大丈夫」と言う。パリのエチオピア人は約2000人、エチオピア料理店は全部で5軒あるそうな。食後に出されたメロンの甘口蒸留酒もおいしかった。「また来ようね。」 (海)4 rue Sauffroy 75017 Paris
TEL : 01.4627.0082.
食後は踊りの輪に入れてもらおう。