長編3作目の『ぼくの伯父さん』がアカデミー外国映画賞などを受賞して興行的にも大ヒットし、力がみなぎっていた映画監督のジャック・タチ(1907-1982)は、1964年から3年がかりで70ミリ、磁気ステレオ音響の大作コメディー『プレイタイム』の撮影に挑む。 ヴァンセンヌの森に超近代的都市の一角をそっくり再現するなどしたために、1500万フランという当時のフランス映画界としては異例の巨額な製作費になった。 ガラス張り、オートメ化されたその都市の中で迷子になったようなムッシュー・ユロ(ぼくの伯父さん)の人間らしさがおかしくも悲しい傑作だったが、 興行的にはまったく当たらなかった。その「タチ都市」を国が買い取って文化センターにするという、当時のマルロー文化相の約束もほごになり、タチは破産。サンジェルマン・アン・レーの家を売って、妻と二人の子供とともに、パリの小さなアパートに移り住む。 娘でやはり映画監督だったソフィー・タチシェフ(昨年死亡)や演出家のジェローム・デシャンらの努力で、タチの死後20年ぶりに修復された『プレイタイム』が、カンヌの海岸で国際映画祭の期間中に上映された。(真) |
●週刊誌「テレラマ」もタチ特集を組んだ (現在もキオスクなどで発売中。7.30€)。 ●『プレイタイム』上映 18日~22日(19h開場)、23日(15h開場)。 上映後、楽しくみんなで踊れます。10~16€。 Théâtre national de Chaillot : 1 place du Trocadéro 16e 予約は01.5365.3000 |