古代ギリシャの劇作家アリストファネスの作品が原作になっている。スパルタとの戦いにうんざりするアテナイ住民を、平和へと導こうとする富裕な商人ディケポリスが主人公として描かれる。政治批判や、神々と英雄の揶揄や個人攻撃など、古代ギリシャ喜劇の流れをくみながら、衣装や舞台美術などで「今」とうまくマッチさせているのには感心。歌や踊りも加わって楽しい舞台になっている。演出はステファニー・テッソン。6/9日まで。 |
火~土/20h30 、日/15h 14€/20€ * Theatre 13 :103 bd Auguste-Blanqui 13e 01.4588.6222 |
|
|
●La Boutique au coin de la rue 前号の映画欄で紹介されていたエルンスト・ルビッチの『The Shop around the Corner(1940)』をジャン=ジャック・ジルベルマンが舞台化したのだと思っていたら、実はルビッチもハンガリーの劇作家ミクロス・ラズロの戯作を映画化していたのだと知った。演劇と映画では、話が展開されていく空間が圧倒的に違い、平面に近い演劇の空間では移動が制限される。だからラズロの原作もこの舞台も、話が展開する空間を主人公が働く書店(原作は『香水店』という題名だから書店ではなかったに違いない)に限っている。 とはいえ、演出はルビッチのそれに近い。主人公クラリック(サミュエル・ラバルト。ジェームズ・スチュアートにはあまり似ていないが雰囲気がある)が、自分の文通相手だとは知らずに恋をする同僚クララ、二人が働く書店の主人などは、ルビッチの人物たちと等しく明確で単純な性格付けがされ、そこにテンポがよくウイットに富んだ会話が加わり数々の笑いが生まれていく。アイデア溢れる舞台美術にも本当に脱帽! 昨年の9月からのロングラン、今年のモリエール賞で5部門にわたり入賞というのにもうなずける。ぜひ観に行ってほしい。(海) 火~土/21h 、マチネ:土/17h、日/15h30 |
*Theatre Montparnasse : 31 rue de la Gaite 14e 01.4322.7774 |
|
|
●第3回舞踏フェスティバル 3回目を迎えたこの舞踏フェスティバルのおかげもあってか、舞踏が勢いを盛り返し、フランス人の間に新しいファンが増えている。6日と7日は、福原哲朗のソロで「スペースダンス」。14日と15日は竹之内淳志のソロで「点紋」。18日と19日は岩名雅記のソロで「Kenran “Y” のために」。21日と22日は有科珠々カンパニーで「三千世界の双六」。25日と26日は佐々木博康のソロで「写楽」ほか、吉岡由美子のソロで「夜明け前」。いずれも開演は20h30。舞踏家による半日のスタージュもある。 10€(前売り)/13€(当日)/8€(学割)。 *Espace Culturel Bertin Poiree : 8-12 rue Bertin Poiree 1er 01.4476.0606 |