ワールドカップ番外狂騒編。

 5月31日のフランス対セネガル戦でついに熱戦の火蓋が切られたアジア初のワールドカップ(W杯)ももう11日目(6月10日現在)、早いものだ。
 優勝候補の一角、フランスのまさかの黒星発進は本大会が波瀾に満ちた展開になることを暗示しているように思えた。ポルトガルの初戦黒星やドイツの対サウジアラビア戦でのワンサイド・ゲームをだれが試合前に予想しただろうか。
 ワールドカップは1次リーグであっても一発勝負に近い。にもかかわらず、1次リーグ突破を目標にするチーム、本選上位を狙う強豪チーム、それぞれの思惑は異なっていても、現時点まで多くのチームがこれまでの大会と較べてかなり攻めの闘いをしている結果、内容の濃い大会となっている。フランス2戦目の対ウルグアイ戦、ドイツ対アイルランド戦、イングランド対アルゼンチン戦などはその好例であろう。
 好試合が続き、各国国民やサポーターも徐々に熱さを増してきているというのに、この盛りあがりに水を差しているのが例によってチケット問題である。W杯日本組織委員会(JAWOC)発表によれば、1次リーグの売れ残りチケットは実に39,600枚にも上るという。確かに好カードでもスタンドに目を向けるとかなり良い席に空きが目立ち、チケットが手に入らなかった多くの日本人サポーターや試合開催地の自治体は怒りを爆発させている。政府もこの問題に重い腰をやっと上げたところだが、その対応の鈍さは外務省と較べても遜色ないほどだ。
 この責任の所在は毎度のことながら国際サッカー連盟(FIFA)にあるのだが、利権さえ確保すれば後は知らん顔というFIFA特有の金権体質と、そこに群がる様々な利権集団(その象徴が今回のチケット印刷屋である)にとって、W杯やその他の世界規模の大会はなにより稼ぎを優先しなければならない場であって、国民を楽しませるのは開催国や組織委員会の役目だということらしい。
 JAWOCが今さら慌てふためいて、FIFAを非難しても、それはJAWOCの政治手腕のなさと、したたかな国際ビジネス感覚の欠如を露呈したにすぎないだけのことである。そもそも日韓共催のいきさつからして、ワールドカップを両国の友情の礎にするという正論を全面的に掲げることで、韓国がその政治・外交的アドバンテージを世界に見せつけたことを考えれば、パンク寸前になるまでたかだかチケットの売り方くらいで建前を崩そうとしなかったJAWOCの判断の甘さは論評にも値しない。結局のところ、欲と欲のぶつかり合いの犠牲になるのはW杯を楽しみに待っていた多くの国民、サポーターたちなのである。
 ところで、どういう基準で選ばれたのかわからない「すばらしい国際審判」の仕切りぶりにもかかわらず、日本代表が対ベルギー戦でタイトなゲームを展開し、しかも対ロシア戦で待望の初勝利を飾る健闘をみせ、ベスト16進出も夢ではなくなった。日本でもスポーツ文化がようやく生まれようとしている。
(桑・東京発)



2002年のW杯放映権取得のためにTF1が払った額
168 000 000euros
(2006年W杯24試合の放映権をふくむ)

15 400 000euros
(1998年W杯の放映権取得料)