「1度目はフレンチ、2度目は和で勝負」

 数多くの日本レストランがひしめくオペラ座(ガルニエ)近くに、やはり日本レストランの「AKI」がある。他の店とは一味違った、落ち着いた雰囲気のこの店で、創作和食を手がける若い料理長、叶一成(かのう かずなり)さんに話をうかがってみた。
 叶さんは大阪府の出身。気がついたら和食の道に進んでいたそうで、日本では料亭などで働いていたが、これからは和洋折衷が主流になるだろうという思いから、特にフレンチに興味を持ち初めての渡仏。6年半の間、パリやブリュッセル郊外のレストランなどで働いた後、日本での仕事が決まって帰国する。
 その後も日本において、フレンチの要素も取り入れた和食を追い求めていたが、知り合いのツテで現在の「AKI」で働くこととなり、再びパリへ。「フランス人に合う和食を、という社長の熱意に負けました」と叶さん。今までに経験したことのない状況で、自分の求めていた創作料理で勝負しようということのようだ。
 「和食とかフレンチとかという枠にはまらず、自分なりの一つの料理を確立していきたい」という思いから、大筋に和の基本を置きながらも、こちらの素材を活かして、日本の会席風な料理を創り出している。「会席は酒に合わせた料理だから…」ということで、やはりワインとの相性も避けて通れない。フランス人に合う和食は、なかなか一筋縄ではいかないようだ。どんな時にアイデアが浮かぶのか、という問いに「考えているだけではダメ。作りながらひらめきます」との答え。今は特に、魚を使った料理に力を入れていきたいとのこと。
 この「AKI」は、2002年版のミシュランではフォーク一つ、ゴーミヨーでも13点を、それぞれ初登場で獲得。叶さんの発想力は、まだまだこれからが見せ所だろう。(hiro)