両手両足から繰り出されるシンコペーションのうねり、最弱音から最強音までのダイナミズム、どこまでもしなやかなポリリズム…どれをとってもエルヴィン・ジョーンズ並みだった米国出身の名ドラマー、オリヴァー・ジョンソン。沖至、加古隆など日本のミュージシャンたちもオリバーとの共演に心を燃やした。 オリヴァーがパリに住みついてもう1/4世紀、スティーヴ・レイシーのバンドなどを中心に活躍していたが、ここ数年はアルコールにむしばまれて演奏から遠のき、ホームレスの生活だった。ジャズクラブのカウンターでその姿を見かけることもあり、大の日本びいきの彼は「日本は素晴らしい!」と握手してくれたが、その手はむくんでいて力がなかった。 3月7日、ビールが原因の喧嘩で殺害され、レアールの公園のベンチで息が切れているオリヴァーが発見された。58歳。「オリバーは、いつかカムバックする日のことを考えて、シンバルだけはとってあるんだ」と沖至が語っていたことが、思い出されてならない。(真) |
元気なころのオリヴァー・ジョンソン(後列)、前列右はサックス奏者のデヴィッド・マレイ 。
この読書好きで目のきれいな静かな大男の黒人(オリヴァー)は、こういいやがった。 ●オリヴァーのこの怒りの真相を知りたい人は、〈バランス・ピッシング〉の項を読んでみてください。 |