郊外団地のリアリティーにカメラを向ける。

 大都市のアパートの家賃が高騰し、収入の少ない家庭や移民家族は、周辺にある郊外の団地へと引っ越していく。生活習慣の異なる人種が同居しているそんな団地では、失業率が高く、文化・スポーツ施設がとぼしく、青少年のバカレロレア取得率も低い…などなどから、さまざまな問題を抱えていることは事実だ。
 こんな郊外団地の実状をテレビが取り上げると、校内暴力とか麻薬売買だけに焦点をあて、センセーショナルな効果をねらったルポ番組が大部分を占める。そんな中で、国営局のFrance 3 が放映している “Saga-cites” は、団地に住み、こんな問題を解決するために日々力をつくしている人々に、カメラを向けている。

 放課後の中学生を対象にラップ教室を開いているミュージシャン、診断を受けにきた患者から時間をかけて話を聞き、彼らの生活苦などを書きとめて舞台化しようとしている開業医、それぞれの得意料理を教え合って異国の味に親しもうとしている主婦たち、言葉ができなくてお役所とのコンタクトがうまくいかない人たちをヘルプするボランティア…。郊外団地のきびしいリアリティーに、少しずつ光が差し込んでくるようだ。

 視聴率を追うあまり、民放局とちっとも変わらないバラエティー番組が増えている国営局にあって、今年で11年目になる “Saga-cite” は、テレビの役割についていろいろと考えさせられることが多い番組だ。(真)


France 3 土曜の午前10時45分と真夜中すぎ。