アートが盛ん、街の規模もちょうどいい。パリよりやっぱりリール。 83m2(+カーヴ3m2+屋根裏83m2)。家賃4400F、管理費なし。

 赤煉瓦の壁、大きなガラス窓・・・リールの街なかを散歩しつつ「こんな建物に住んでみたいなぁ」と、立ち止まっては夢想にふける。人々はどんな暮らしをしているのかなぁ・・・思い高じて《お宅拝見》記事もリールで取材です。
 旧市街から歩いて10分弱のアパートに暮らす若者ふたり。道幅広く、静かなポワトゥー通り。高さ4mもある立派な入口の扉のインターフォンは故障中、ローラン君が出迎えてくれる。内壁のペンキのヒビ、乾燥しきった床の木などに少々驚きつつ、彼らの住む最上階、3階へ。
 郊外の街ルーベにあるインターネット会社勤務のフランソワ君(23歳)と、土方のバイトをしながら絵を描くローラン君(22歳)は3年来の友人だ。ベルギーで美術学校に通っていたローラン君がリールに戻って来たので、アパートをシェアしようと、無料のタウン誌やネットで物件広告をあさること一カ月半。不動産屋を介さないこの物件を見つけ「ふたりの部屋の大きさが同じだから、平等」が決め手になり即入居。管理費はなし。だから階段の掃除、ごみ箱管理などは建物内の4戸の住人が各々まかなう。
 さて、1カ月半になるふたりの共同生活は?「趣味同じ、音楽も同じものが好き、好きになる女の子も同じ(いや、これは冗談!と後で訂正された)だから、うまくいってる」。フランソワ君は「インテリアを整える前に、ローランの絵に家じゅう占領されてしまった」と言いながらうれしげ。なるほど、家はカラフルでポップでグロテスクな絵でいっぱい。スクワット風でカッコいいではないか。
 しかし共同生活のガンといえば皿洗い。「あのチョコケーキ、もうガチガチになったよ。放置して一週間!そろそろどうにかして」。流し台は山盛り(写真参照)廃屋風? 問題はほかにもある。「先週は、買ったビスケットを食べよう、と楽しみに帰宅したのになくなってた。ショックだったー」「え、君だって。あのオレンジ・ジュースは高級品だったからボクは大切に飲んでいたのに、君はゴクゴクと」…お互い苦笑い。午後のひとときを好青年ふたりと共有し、私のリール移住の夢はますます膨らむのだった。(美)

ローラン君の部屋で、ふたりでCDジャケットをデザイン。友人9人で “ze.night”協会を結成し、夜のスポット紹介のサイト、オリジナルCDなどの準備をすすめている。

ベルギーまで車で10数分。

 「車を飛ばせばベルギーとの国境まで10数分。ガソリン、タバコ、酒類はベルギーが安いから買い物に行くこともある。フランスにないビネガー味のチップスとかもね。ユーロ統一で、買い物も簡単になった」
 リール旧市街と、クラブが多く夜な夜な若者が集まるマセナ通りの中間地点に住むふたり、近所でおすすめは、歩いて2分のヴォーバン公園。1667年にルイ14世の勅令で建造された星形の城塞を、木々と水路が囲む。釣り、ジョギング、散歩を楽しむ人の多い心和む場所を、ふたりはモトクロス自転車で走るのだそうだ。(美)

心が和むようなヴォーバン公園。