まゆみさんの住まいは、リュクサンブール公園のすぐそば、サン・ミッシェル大通り沿いにある。旧建築の立派な建物の5階、眺めのいい角部屋が彼女の住まいだ。さすがに独り住まいではここの家賃は高いので、常に友人とシェア。友だちと一緒だと寂しくないのもいい。 アパートに入ると、広い空間にシャンデリア、観葉植物やたくさんの花が生けてあったりとゴージャスな雰囲気に圧倒されるのだが、よく見てみると手作りの工夫が。例えば、天井の四隅と中心にあるレリーフを金色に塗ったのも、寝室の壁を布で覆って釘で止めたのも、浴室の壁紙を貼ったり、ペンキを塗ったのも彼女自身だというから驚きだ。寝室やサロンの壁にたくさんかけられた色とりどりのフレームも手作りの自信作。 「寝室の壁は緑と白のストライプだったから目がチカチカして落ち着かなかったので、大家さんの承諾をもらって、気に入った布を何メートルも買ってきて自分で張り替えました」。その甲斐あって、アパート全体のクラシックな雰囲気と合った落ち着いた空間になっている。このアパートに入居して7年。賃貸とはいえ、大家さんの承諾を得て、自分の好きな色、スタイルにコツコツと改装してきたので、自分の住まいとしてひとつひとつに愛着がある。 8歳の時から現在も続けているクラシックバレエと、ジャズダンスに週2回ずつ通っていたり、日曜にはよくバスケットボールをしに出かけるという活動的なまゆみさんのまわりには、友人の姿が絶えない。そのせいか、彼女のうちもいつも賑やかで、いわば、たまり場状態になっているのは、彼女の人柄に加え、そのくつろぎやすさにありそうだ。 家具が多いので家具付きの部屋かと思いきや、じつは家具ナシ。まゆみさん自身で買い求めたものと、一部は友人たちが置いていったものだとか。これだけ広いと掃除が大変なのでは? と問うと、「散らかさないもん」と、ごもっともなご返事。常にきれいな状態を心掛けていれば、掃除をするのもラクという訳。オソレイリマシタ。(里)
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窓から望めるオプセルヴァトワール大通りの並木やモンパルナスタワーの夜景もお気に入り。
浴室のタイルや戸棚には貝殻のモチーフを取り付けた。 |
日常に贅沢なひとときを。
目の前に広がるリュクサンブール公園は、まゆみさんにとっては自分の庭も同然。特に夏は、かなりの時間を公園で過ごす。お気に入りは園内にあるカフェ。バスケットコート近くと、噴水の近くにあり、どちらのカフェでもパリに住む幸福感を味わえる。 夜になったら行きつけのバー、ポール・ロワイヤル駅横のクロズリー・デ・リラへ。カウンター左の隅の席が、ヘミングウェイならぬまゆみさんの特等席。バーテンダーのイヴさんに「いつもの」で、注文完了。ブラスリーとしても有名だが、ここの格式あるバーは落ち着いたひとときが過ごせるちょっとした穴場的スポットなのだ。(里) |
*La Closerie des Lilas |