スペシャリストに聞くフランスのお茶事情。
TEA EXPO主催者でフランス唯一のお茶専門誌を編集するマーヴィン・イディアスさんにフランスのお茶事情をうかがった。
TEA EXPO開催のいきさつは?
数年前よりお茶への関心が高まるにつれ、全国でさまざまなお茶に関する講演会などが開かれたが、輸入業者、販売人、研究者、そして一般のお茶ファンといった人たちが一堂に集える場所がなかった。そこで「情報」「教育」「試飲」を3本柱に、お茶に興味を持つ多くの人々が、有機的に出会える場所を作ろうと考えた。今年でこのエキスポは2年目、昨年の工場のような雰囲気だったPorte de Versaillesの会場から、大理石の床で光が降り注ぐPalais des Congrèsに場所を移し、よりお茶を楽しむ雰囲気を出せたことがうれしい。今年はスタンドの数も昨年に比べ20%増え、ネパールを含む世界13カ国のお茶が集まった。
フランス人とお茶の関係は?
以前はお茶といえば病人の飲み物というイメージが根強かった。お茶は、世界で水につぐ第二の消費量を誇る飲み物だが、現在でもフランス国内でのお茶の年間消費量は決して多くはなく、一人平均150グラム。コーヒーの年間消費量6キロにくらべずっと少ない。ちなみにヨーロッパで一番お茶の個人消費量が多い国はアイルランドで年間3キロ。ただご察しの通り、フランスでもここ数年のお茶ブームで、消費量はかなり上向きだ。一方、奇妙に聞こえるかもしれないが、フランスは茶の輸入量より輸出量の方が多い。なぜならお茶に香りをつける技術がとても発達しているので、フランスに寄り道した外国産の茶に匂いをつけて、商品として輸出することが多いためだ。
お茶ブームについて教えて下さい。
ここ4、5年で特に緑茶の人気が非常に高くなっている。今年だけでも昨年に比べ緑茶消費量は24%の増加だ。そのうえ洗練された暮らし方を望む人々が、美しい器を買い求めたり、禅のエスプリに注目したりと、「お茶周辺文化」がブームになっている。最近は緑茶の顔面マスクやお茶風味のビスケットなど、化粧品や食料品の分野にまで、この傾向が顕著になってきているが、お茶そのものはブームで終わらず、健康とリラックスの象徴として、今後フランス人の生活にますます定着していくだろう。
お茶を美味しく飲むポイントは?
美味しいお茶を飲むには5つのポイントがある。
1/お茶の葉をきちんと見て匂いをかぐこと。
2/ミネラルがお茶の味を変えてしまうので水道の水は使わない。特にヴォルビックはミネラル分が少ないのでお茶向きだ。
3/水を沸騰させずに80。c位に調節すること。
4/ お茶それぞれの煎じる時間を守ること。
5/ 美しい器で心を落ち着かせゆっくりと飲むこと。
また私はもともと栄養学博士ですが、例えば、黒茶はリンゴジュースの10倍の酸化を防止する成分を含んでいるなど、お茶とより深く付き合うためにも知ってもらいたいことがたくさんある。
お茶は健康とリラックスの象徴としてフランスの生活に定着していくだろう。
マーヴィンさんが編集するお茶専門雑誌『Thé Art, Culture & Santé』4冊で90F
購入はtel.01.5504.7755
www.melys.com