「研修ビザを取ろうとしたら、労働ビザが一年分取れてしまったのです」と誰もが驚くようなラッキーな出来事をひょうひょうと語る横内聡子さんはフランスに来てまだ4時間ちょっと。パリで一息ついた2日後に南仏はグラースに行き、その日から香水会社で有給の研修を始める。
短大卒業後、留学先のアメリカでフランス人の友達ができたことがフランスに興味を持ったきっかけという横内さん。帰国後フランス語の勉強を始めてみたら、思ったよりも面白い。そこで会社を辞めてルーアンに留学し、フランス、そしてヨーロッパの奥深さに感動。いつの日かヨーロッパの地で働こうと決意。帰国後、数々の外資系企業を渡り歩きながら、夢をかなえるため日夜履歴書書きに励む毎日が数年。
しかし、日本にいながら海外での就職先を見つけるのは難しい。そこで「弁護士に払うお金をエージェントに払うと考えれば」と、とあるインターンシップ斡旋会社に登録し、フランスの様々な企業に履歴書を売り込んでもらうことに。結果は成功、横内さんの大手フランス系化粧品会社での勤務経験がグラースの香水会社の目に留まったのだ。もともと香水好きの横内さん、勤めていた証券会社を退職し、二つ返事で引き受けた。
もちろん、思ったとおりに事が運ばないことも多い。4月の初めに申請したビザが発給されたのは7月中旬のこと。先方の会社はグラースの観光シーズンが始まる6月までには横内さんにグラース入りしてもらいたかったようだが…。そしてバカンスに突入したグラースで住まいを見つけられるかどうか?
さらに悩みはつきない。2年ぶりのフランスでフランス語を2日間でとり戻せるか…滞在許可証を1年分もらえるかどうか…3カ月の研修後素早く再就職先を見つけられるか…仕事を始めながら引越をこなせるか…。しかし、そんな不安もすべて「まあ、きっとなんとかなるでしょう、ここはフランスだし」と明るく前向きに締めくくってくれる横内さん。
きっと、グラースでもパリでもなんとかなることでしょう。(も)