1986年9月28日、モーゼル県モンティニー・レ・メッツ町で、8歳の二人の少年が殴殺された。数カ月後に当時16歳のパトリック・ディルスが逮捕され、自供。その直後、自供をひるがえす。19歳の時に無期懲役の判決を受けて服役。以来14年間無罪を叫び続けていた。 その後の調べで、犯行のあった時刻に、連続殺人で有名なフランシス・オルムが、殺人現場を徘徊していたことがわかっただけでなく、重要な証人の取り調べもおろそかにされていたことなどが判明し、弁護団は破棄院に再審を願い出る。今年4月、破棄院は「裁判所は、間違いを認めることができなくてはならない」と、ランス重罪院での再審を命令。 6月20日からの再審には、オルムも証人として喚問されたが、犯行を否定した後、「被告が犯人だとは思えない。幸運を祈る」と謎の供述。裁判最終日の29日、検察側も、ディルスが無実という内的心証にもとづいて無罪放免を9人の陪審員に訴えたが、陪審側はディルスを有罪とし、懲役25年の刑を宣告した。 近々仮釈放の身になるディルスと弁護団は「名誉のために」と再上告。(真) |
“La justice doit être capable de reconnaitre ses erreurs.” Dominique Commaret, avocat général |