「皮をかぶっている人間でも、一枚めくると真実が見える。それが映画の役割です」と、アントナン・アルトーは記しています。最近、民放M6の “Loft Story”という新番組を見ながら、その言葉を思い出しました。”Loft Story” は映画ではなく、テレ・レアリティという新しい概念の番組です。数千万のフランス人がテレビやインターネットで11人(男6人、女5人)の参加者を実験室のネズミのように注意ぶかく観察しています。M6にとって大成功です。”Loft Story”は伝統的なTV連続ドラマとは違って「本当の生活」の番組です。「あなたに似ている普通の人々が生活している世界をみる」というM6のうたい文句がフランス人を納得させました。4月26日以来いくつかのビデオカメラとマイクが参加者の生活をうかがっています。聴視者は「現実の体験」に立ち会っているような気がします。隣人の家に入り込んでいるような感じですが、毎日見ていると、この感覚がだんだんぼやけてきます。「レアリティ」という概念は「嘘」と同義になります。”Loft Story” の内容は制作者に完全に制御されています。また、M6がインターネットと衛星放送局TPSで24時間生放送といって放映している “Loft Story” は、実は2分ずらしているので、制作者は、参加者の会話や態度が都合の悪いときにはカットできます。結局、”Loft Story” は悪いシリーズになってしまいました。もっとも強い関心はインターネット上に集中しますが、参加している女性のわいせつな映像を見ることができるからです。それはとにかくリアルです。(クロード) |
*毎日/18h30、20h40、0h40 木/20h50-23h15 www.loftstory.fr |