Marks & Spencer式リストラ。

 長年パリのオスマン通りで流行の波にも耐えてきたMarks & Spencerは、最近たしかにH & MやGAP、ZARAなどに押されぎみなのは目に見えていた。が、3月29日午前7時55分、株式取引開始1時間前に英国本社の企業委員会が、欧州の38店の閉鎖と社員4400人、フランスだけで1700人(18店)の解雇を発表するとは社員には青天のヘキレキ。英国では予告なしに社員に解雇通知が郵送されたり、朝のニュースで工場の閉鎖やリストラを知る労働者もいるというから、Marks & Spencerも英国式に公表したのだろう。
 理由は経営不振だけではない。来年3月末までに20億£を株主に返済するためだという。社員よりも株主優先というアングロサクソン流資本主義を実行。そして13カ月前に着任したばかりのヴァンドヴェルド社長には年給65万£の他、特別手当200万£と1000万£相当の株が与えられることが英国でも話題になっている。
 Marks & Spencerの欧州撤退・解雇発表の日、申し合わせたかのように乳製品・菓子製造の大手DANONE社がビスケット”LU” 生産のカレーとリス・オランジス(パリ南郊外)の他、ベルギー、イタリア、ハンガリーと計6工場の閉鎖と計1816人(フランス570人) のリストラを発表。作年度46億Fの純益を上げたダノン社は、国際競争に立ち向かうには工場の生産性を上げる必要ありと合理化を目指す。創立以来、福祉厚生を重視し模範的企業として認められ、消費者にも愛されてきたダノンのグローバリゼーションゆえの工場閉鎖・解雇の一撃は、仏社会への一撃でもある。この合理化に反対し、あるジャーナリストが同社製品のボイコット・サイトを開設し署名運動を開始。ダノンはサイトに同社のマークが盗用されたことでサイトの即時停止と10万Fの賠償金を請求し係争中。
 ボイコット運動の火の手が上がるや勢いづいたのが地元の共産党系市長と左派議員。国会で90人余りがボイコット支持表明、先の地方選挙での不振挽回の機と、労働者支持運動に飛びつく。が、ボイコットはますますリストラを煽るばかりと、この種の市民運動に反対する組合員もいて、労働者は賛否両論の板ばさみに。
 Marks & Spencer とダノンのリストラ宣言が火ぶたを切ったかのようにPhilips, Moulinex-Brandt, AOM-Air Liberte, DIM, Andres、国際企業のリストラ旋風が吹き荒れる中、ギグー雇用・社会問題相は急きょ、2年前に国民議会で通過済みの社会保障改善法案への修正案を上院に提出(4/24)。まず、従来の解雇補償金(年給の1/10×年数)を倍増(年給の2/5に)。大企業は解雇者の再就職まで契約を維持し復職休暇として補償する。黒字企業の工場閉鎖には同地に代替雇用を義務づける、または再開発基金税を払わせるなどの合理化抑制策だ。しかし、現実にはリストラをする企業の80%は、この法案の適用されない中小企業なのである。

 国際規模のリストラは、グローバリゼーションを隠れミノにした多国籍企業の常套手段と思えばいいだろう。(君)



世界に荒れるリストラ旋風

13300 人 Ericsson (携帯電話)
6900人 Sarah Lee (繊維)
6000人 Philips (家電・電子)
4000人 Moulinex-Brandt (家電)
1800*人 Bull(ハードウェア)
1500*人 AOM-Air Liberté 航空)
500*人 DIM (ランジェリー)
450*人 André 靴)
*仏国内。(Le Monde : 2001/03/31, 4/21)