AlterNation
パスカルとその仲間がこの空き家に移ってきたのは1年前。その前は証券取引所前のLa Bourseに10カ月、マティニョン通りの空きギャラリーに9カ月スクワットしていた。電子技術者でもあるパスカルが電気を使えるようにしたり、ほかにも空き家捜しの名人がいたりと、それぞれが得意技をアトリエ確保・維持のために役立てている。
絵画、彫刻、演劇、ダンス、テクノなどのアーティスト70人が活動し、そのうち15人は建物内に住む。アソシエーションとして届け出してあり、光熱費の請求はこの協会宛にくる。弁護士が建物の持ち主(CDR)と交渉に当たっているが、良い返事はない。その代わり、去年の10月から1週間につき15,000フランの罰金を請求されてしまった。払えるわけもないし、払う気もない。一方、所有者側は、今後も建物を使う予定は特にないのだそうだ。
建物内には広い展示スペースのほか、ペインティングや金属彫刻のアトリエがあり、演劇やダンスの稽古場に当てられた広い部屋もある。アトリエ使用を希望する場合、作品の資料を中心メンバーに見せなくてはいけない。そして、毎月個人150フラン、グループは250フランの維持費を負担。もちろん自由でオープンなスペースだが、ある程度の規則を作らないと、やっていくのは無理だという。つい最近も喧嘩好きの酔っ払いアーティストに出て行ってもらった。
「スクワットをする場所は偶然に左右されるけれど、場所はメンタリティーに関わってくる。たとえばリヴォリ通りのスクワットは、場所柄展示場としての意味合いが自然に強くなるだろう。僕たちは、人通りの少ない静かな地区にいるので、制作する場という気持ちが強い」とパスカル。3月17日18日14h~24hまで一般公開。作品の展示のほか、コンサート、演劇の公演などがある。
問い合わせはPascal :
06.7424.0778
*19 r. Pierre-Bourdan 12e
中心メンバーのパスカル。
Les Falaises
20代が中心。昨年の5月にやってきた。ここへ来る前はノートルダム・ド・ロレットのスクワットにいたそうだ。退去が決まったある日、途方にくれながらふらっと歩いていたところ、偶然この空き家を見つけ、その日すぐに引っ越し始めた。「まるでお伽噺のようだった」とマルクがいう。彼は詩や戯曲を書いているが、ほかには画家、ミュージシャン、俳優など約10人のアーティストがいて、みんなの仕事場兼住居である。アソシエーションとして活動している彼らは、エキスポ (金土14h~02h、日14h~19h入場可) や、インプロヴィゼーション・ジャズのコンサート(毎週金土の22hから、入場料22F)を開催し、また木曜日の21hには演劇の上演も行っている。グループ外のアーティストも多く参加しているが、これには中心メンバーの同意が必要だ。建物の所有者は銀行で、提訴されたが免訴となった。近所にはほかにもCollectif 21 Label-GrangeやIn Factなどのスクワットがある。その2カ所とこの場所が「黄金の三角地帯を作っているんだ」とマルクは誇っていた。
*27 rue Germain-Pilon 9e 01 46 06 31 93
www.zanzibart.com/falaises
Photo: Julien DUGUET