石油の暴騰に怒った運送業者が石油貯蔵施設等を封鎖したり、バカンス明けから国民はイライラしどおし。なのに9月24日、大統領任期を5年にするかどうかで国民投票を行うなんて時間とお金のムダ、いま解決しなければならないことがヤマほどあるのに ! とは国民の気持だったろう。 結果は誰もが予想していたとおり、棄権率は戦後最高69.68% ! 30.32% の投票者のうち賛成票は73.15%、反対票は26.85%、そして16% は白票/無効票を投じている。シラク大統領は国民に問うことで民主主義を実行したつもりだろうけれど、たった18% 足らずの有権者が任期改正に賛成しただけで、70% はこの国民投票に背を向けたのである。 国民投票では国から政党への選挙資金が出ないので政党は金と時間と骨を惜しみ、マスコミもオリンピック一辺倒、国民投票の名目について大した番組は組まなかったから、国民が乗ってこないのは当り前。大統領の7年制を続けていたら21世紀のフランスはどうなってしまうとか、7年(×2)と5年(×2)とでフランスの政治機能はどう変わるかとか、政治家たちがもっと突っ込んで論議を交していれば、国民も真剣に考えたと思うけれど…。 大統領任期を5年にすれば国民議会議員と同じくなるから、与野党の交代によって生じる共存政権も避けられ、西欧諸国の政治サイクルに足並みがそろい「時世に合った民主主義」を実行できるなどの点で、与党陣営も保守陣営も同意見だから争いようもない。共産党と極左系政党が棄権を呼びかけ、Nonと宣言したのは極右FN党とパスクワ派RPF党くらい。 ところが、地方の数十人の市町村長がこの国民投票に対してボイコットの反旗をひるがえしたのである。ある町では産院の閉鎖に反対し、オートザルプ県の85人は新高速道路の路線に反対し、メドック地方では昨年嵐の被害を受けた葡萄栽培者に連帯し、ある村では国民投票は浪費とし、おカミへのコンテスタシオンの先頭に立ったのだから見上げたもの。公職者による選挙のボイコットはもちろん公職法違反で、9月7日、ヴァイアン新内相は全国の県知事に違反市長たちを罷免するよう通達を出している。 シラク大統領は1年前までは任期5年に反対していたのに、2002年に69歳では任期7年への再選は無理とみて数カ月前に心変りしたばかり。そして5年制になっても再任制や権限は不変とクギを刺し、次期再選を計算に入れているよう。 有権者は政治家のカケヒキの道具にされることを拒否したのである。実際に、47% の投票者は、今回のあまりにも高い棄権率の責任はシラク大統領に、30%はジョスパン首相にあるとしている。が、シラク大統領は「大統領と有権者の繋がりを強めるためひんぱんに国民投票を」と、サラリ身をかわす。形だけの国民投票で水増しのデモクラシー ? (君) *関係記事 : No.461 (2000/7/1) に掲載。 |
9月24日の国民投票結果 69.68% 棄権者 (27 580 330人) |