メディア:広告の中の動物たち
動物が出てくる最近のCFでは、個人的にタワシメーカーSpontexのものが気に入っている。従来のタワシと新製品の上にハリネズミが乗り、自分の体をこすりつけその感触を比較している姿がただ単純に映し出されるだけなのだが、イガイガのハリネズミがなんとも愛らしくて思わず笑みがこぼれてしまう。ところが、先日友人と話をしながら彼女の解釈が私とまったく違っていることに気づいた。彼女はこのCFがなんともエロチックだというのだ。つまり、ハリネズミ(男)がスポンジ(女)の乗り心地を試しているのだと。ふむ。さすが恋愛の国フランス、そういわれてみれば、そうかもしれぬ、と思う。
エロチックとまでいかずとも色っぽい広告表現は結構頻繁に使われ、もちろん動物相手にしても例外ではない。たとえばShebaなどペットフードのCF中、美しく艶やかな女性がまるで恋人に対するように飼い猫を愛撫するシーンに出くわす。ペットフードを食べるのは犬猫でも、購買者は人間だから、広告は当然人間に媚びを売るように作られる。このように、いつの世でも動物は「物を売るための手段」として使われてきた。マスタードの容器に印刷されているババールなどのキャラクターや世界一有名な「笑う牛」Vache qui
ritにしても、ある一定のもの、またはある企業の製品を売るための目印でしかない。では、過去100年の間、動物たちはどれだけ広告に貢献してきただろうか。「大人向き」製品では、車(Peugeotのライオン)、たばこ(Cravenの猫、Camelのラクダ)、ガスボンベ(Butagazの熊)、石鹸(Chatの猫、Monsavonの牛)、映画(Patheの雄鶏)、紅茶(The elephantの象)、洗剤(Omoのチンパンジー)など様々な製品に動物キャラクターが使われ、子供向きだと食品、しかもチョコレート(Suchardの牛や犬、Poulainの馬)などの製菓、飲料(Nesquikのウサギ)に動物がしばしば登場してきた。 そういえば、はじめに挙げたSpontexが1950年代に創った広告ポスターでは、人間と化したSpontexがSpontexのスポンジで顔を洗っている(写真)。ただ、こちらはお世辞にもエロチックとはいえない。悪しからず。
(海)
《フランス映画にみる動物愛の行方》フランスは動物に甘い。OVNIでさえワンちゃん、ネコちゃん養子縁組広告は無料だ。映画の中でも、あやしい猫オバさんに預けてしまったがため行方不明になったグリグリを探すクロエ(『猫が行方不明』)や、お気に入りの牛の命を助けるため大統領に会おうとする無茶な少年(『La vache et le president』)など、動物様のために四苦八苦する人があとを絶たない。観る側は「バカンスくらい一緒に連れていきなよ」「他の牛は死んでいいのか」とは思わず、ただただ奔走する主人公を応援するばかり。動物異常愛の金字塔的作品『マックス、モナムール』がフランス資本で製作されたのも、ある必然さえ感じる。これが『ホワイト・ドッグ』や『Zoo』みたいな映画だったら、プロデューサーもouiとは言うまい。
さて動物モノで大ヒットを記録したフランス映画といえば『小熊物語』と『ディディエ』。『小熊物語』は一見熊のドキュメント風作品にみえなくもない。でもキノコでトリップしてよだれを流し、カエル軍団の夢にうなされ、狩り人に手を振りサヨナラする小熊ちゃんは妙に人間くさい奴だった。一方ラブラドール犬が突如人間に変身し、サッカー選手となり大活躍する『ディディエ』。こちらは完全に外見まで人間化する。だが、女の人のお尻をクンクンし、足を上げ放尿ポーズをとったりと、実際は人間の顔をした犬のまま。しかも犬の運動神経も保持しているから、サッカーでは人間以上の価値さえ認められてしまう。
人間と同一化された小熊が愛された80年代、人間以上に優れた犬の90年代を通り抜け、今フランスは新世紀の動物映画を待っている。動物崇拝が突き進み、逆に人間がアニマル化するような映画でも登場するのでは?そういえば最近ポルノ映画が妙に話題だけど、これはまさか…。(瑞)
バカンス!ペットはどうしよう?
■バカンス中、ペットを預けたい
〈ホスト・ファミリーに預ける〉
猫は70~95F(一泊)、犬は95~145F(料金は大きさにより異なる)
げっ歯類(ハムスター、ネズミ、ウサギなど)、魚、鳥35F(エサは別)
〈人に面倒を見てもらう〉
猫は70~95F(一泊)、犬は90~115F(一泊)
*Animado Tel: 01 4227 6451 www.animado.com/
一晩、週末だけのドッグ・シッター
家に来てもらう 80~100F
ドッグシッターの家に犬を預けにいく 60~80F
■一緒に連れて行く
〈電車〉SNCF
6kg 以下の動物の場合は、運用カゴに入れて乗車し、飼い主の電車賃+追加料金5.1€を払う。犬が6kg以上の場合はくつわをはめさせて乗車し大人料金の50%の追加料金を払う。
〈飛行機〉AIR FRANCE
運用カゴに入れて搭乗のこと。