別れ:動物への愛を永遠に刻む ~動物墓地の1世紀~
フランスでは動物愛護協会が1854年に発足した。それ以来(一部)の動物たちのクオリティー・オブ・ライフは向上しているようだが、死後はどうなっているのか?
パリ近郊、アニエール市の動物墓地へ。「世界で一番古いペット墓地」が謳い文句の墓地が創設されたのは1898年。犬、猫、馬やライオン、蝶、キツネザル、サハラ地方に棲息するという小ギツネのフェネック、亀、鹿、雌鶏など4万体の亡骸が眠っている。この墓地の良き時代、1900年に作られた入口の門は、創設者(弁護士のアルモア氏とジャーナリストで女性運動家のデュラン氏)の動物への愛情を表すと同時に、あまりに立派なだけにその崩れ具合が時の流れをドラマチックに感じさせる。
事務所では、オートバイとダイビングが好きという31歳の青年が電話の問い合わせに答えている。「墓地の使用期間は1年、2年から20年まであります…」1m2の墓地の借用料は1年間1479フラン。20年だと24840フラン。これはあくまでも借用料であり、墓石や棺、墓掘りの料金はそれぞれ別となる。
墓地の部分は昔は島だった、というのが細長いキュウリのような墓地の形から偲ばれる。17フランの入場料を払ってキュウリの3分の2くらいまで行ったあたりに、古い墓が集まっている。開設当時はここに墓を作ると「永代供養」(動物なので無宗教供養だが)だった。苔の見事な古い墓石にPERPETUITE の文字が刻まれている。「無縁仏」になった今でも古い墓はこの墓地の魅力だから、市は永久保存の約束を守る方針だそうだ。ちなみに最古のものは、入口近くにそびえる忠犬バリーの碑。40人の遭難者を山で救った挙げ句、41人目の遭難者に殺された(犬が救いに来たのを見て「犬に襲われる!」とおののいた遭難者が、棒で打ちのめした)犬を讃えるモニュメントだという。青年が「カルチエ・シノワ(中華街)」と呼ぶベトナム風の名前が刻まれた墓石群があったり、「オデッサに生まれパリに死す」の墓標があったりと国際的でもある。サシャ・ギトリーの愛猫デジレ、劇作家クルトリーヌの猫などの有名ペットも眠る。
愛犬を失った知人は「墓地を見学した時、墓の上に雪が積もっていたので不憫になってしまい、荼毘(ダビ)に付しました。」遺灰を居間に安置し、現在も一緒に暮らしている。人間界では「遺体復活」を信じるため火葬が定着しにくいフランスだが、ペットの火葬は頻繁に行われるようだ(動物墓地は土葬)。ここには「当然入れ墨、避妊処置をしてあります」と青年が言うネコたちが、30匹ほどウロウロしている。土地開発会社が墓を削って住宅にしようとした時「古い墓友の会」が反対運動をしたおかげで、墓は生きのびているのだが、「友の会」のメンバーのうち5、6人が猫の世話をしている。冬にはバターを与えられるという猫たちはツヤがいい。
セーヌ河に面し周囲の交通量はおびただしいが緑多く心地よい場所だ。青年が「クリスマスの時期もいいですよ」と教えてくれた。墓地がクリスマス・ツリーやプレゼントでいっぱいになるのだそうだ。(美)
4, pont de Clichy 92600 Asnières-sur-Seine
メトロ: 13番線 Asnières-Gennevilliers / Mairie de Clichy
Infos pratiques
■ペットの棺 Cercueils animaliers
小型のお棺 / 幅 51 cm× 長さ 35 cm× 深さ 20 cm : 390 F (税抜き)
【オプション】
クッション付 : 130 F (税抜き)
取手× 2付: 122 F (税抜き)
http://www.facil-fr.com/
Tel : 03 84 94 14 28
■ペットの火葬
猫→遺灰を引き取る場合は500F、引き取らない場合は100F。
犬→ 遺灰を引き取る 600~950F、引き取らない場合は200~500F
CAD ペット火葬センター (Centre d’incinération d’Animaux Domestiques)
Tel : 01 4585 1274
38 rue Clos Montholon 92170 Vanves■動物サイトあれこれ
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