お稽古とアパート探し、どっちが大変? Maubert-Mutualite駅。18m2。3650フラン。

 ミュージカル劇の女優さんである柘植陽子さんは、舞台出演のため半年の予定でパリに滞在中。彼女もアパート探しに苦労した一人だとか。
最初は仕事関係の人が見つけてくれたアパートを見学し、気に入ったのでそのまま入居しようと思っていた。ところが後日、壁に穴があり水漏れする欠陥物件と判明…残念。時間もないので自分でもアパート探しを開始した。「オヴニー」などでアノンスを見たり、不動産屋を訪ねたりで、ようやく3件のアポイントがとれた。その中で好条件のアパートを発見。すぐに大家さんにラブコールをし、入居可能の返事がもらえた。ところがここで終わらないのがパリ、だ。こともあろうか、大家さんの家族が手違いで他の人に承諾の返事をしてしまったのだ。ふりだしに戻る。
落ち込んでいる間に、また仕事関係の人が新しいアパートを見つけてきてくれた。「日当たりの良さ」「劇場に近いこと」「バスタブ付き」という自分の希望条件をすべて満たさない物件だったが、「疲れ果てていたので、もういいや、ここに決めようと」。この気持ち、わかります。そのアパートが今の住居なのだそうだが、入居直前に大家さんが床のカーペットを替え、壁のペンキを塗り直し、カーテンもつけてくれたので、今はまんざらでもないご様子。あまり広くはないが、天井が高いので開放感がある。大好きなノートル・ダムまで散歩圏内の立地の良さ。すぐ近くのサン・ニコラ教会の鐘の音もヨーロッパ風情がある。
さて異国での稽古は大変なことも多いけど、発見もまた多い。特に驚いたのは、フランス人の食に対する執着心。たとえ熱が入った稽古中であれど、時間がきたら必ずお昼休憩を主張する彼らに、最初はとまどったという。「戦争中でも戦地までシェフを連れていったフランス人だから仕方ないか」とは言いつつ、フランスに来て良かったことの筆頭に「パンがおいしいこと!」と即答する陽子さんも、かなりのグルマンド (食いしん坊) とみた。いつも混んでいる近所のパン屋 Kayser(8 rue Manger 5e)が特にお気に入り。「バゲットを買ったら、その日のうちに一本食べちゃうんです (笑)」
きっとこの食欲が、美しい歌声を産み
出すエネルギーの源にちがいない。(瑞)*ミュージカル「ダ・ヴィンチ」はThéâtre du Casino de Paris (16 rue de Clichy 19e 01.4995.2222) にて8月30日まで公開中。陽子さんは火曜と日曜の回に出演。
鐘の音が美しいサン・ニコラ教会。

■ 中古CDショップ “O’CD”。
 お仕事がら、普段から音楽に慣れ親しんでいる陽子さん。もちろん音楽の守備範囲も広い。家からほど近くの品揃え豊富な中古CDショップ “O’CD” には、マメに足を運ぶ。最近もここで「ミス・サイゴン」、ガーシュイン、エニグマのCDを購入したばかり。日本とは違い、店内でケースを取り出し、自由に試聴できてしまう気安さが嬉しい。お店の前には、常時アルバイトやアパート情報のアノンスが貼ってあり、学生たちが足をとめている。(瑞)
*26 rue des Ecoles 5e  月/14h~19h、
火~土/11h~21h、日/15h~19h