幼なじみ同士がゴールインするまで。 Antoine et Catherine


 同じ幼稚園に通うアントワーヌとカトリーヌの父親と母親が、公園のベンチで言葉を交わす。家が近いということも手伝って1950年のこの日から両家は家族同様の付き合いを始める。1960年、1970年、時も人も移り変わり、2000年の6月、アントワーヌとカトリーヌが結ばれる日がようやく訪れる。
 特別な技巧も工夫もほどこされていない。殺風景で狭い舞台にちょこんとベンチがひとつ、そのまわりを二人の役者 (この芝居を書き下ろしたシルヴィー・ブロニカスと演出を担当するジュリアン・ロシュフォール) が行き来するだけ。それなのにこの芝居が観る人を楽しませるのは、観客のひとりひとりがどこかに思い出を残す過去50年間を時代背景として選び、音楽、衣装、髪型などほんの少しずつディテールを変えながらそれぞれの時代を見事にとらえていること、そして親子三代にわたるこの恋愛ドラマが普通の人々を描いていることに起因している。少予算でも、アイデアをひねればこんなに楽しい劇になる、というお手本。(海)
* Theatre de Poche Montparnasse : 75 bd du Montparnasse 6e 01.4544.5021 火-土/21h マチネは土/18h 日/15h
140F/110F(土曜マチネのみ)
● L’Accommode sans tiroir
 「自己や演劇について語るには、コクトー以外にわたしを助けてくれる作家はいない」というジャン=クロード・ドレフュスが、コクトーの『オペラ』を中心とした作品から25年間ノートに書きとめてきた言葉の数々をつなぎ合わせ、1時間の独り芝居に仕上げた。老いへの恐怖、舞台、創作への不安、ナルシスト的な美の追求…ドレフュスの口からコクトーの言葉たちが堰を切ったように流れ出す。素材となるテキストと役者の相性がいいことはもちろんだが、すべてを料理する演出家の腕前も舞台の出来を大きく左右する。ドレフュスは映画『デリカテッセン』からつきまとう「コミック」というレッテルを剥がし、コクトーのシリアスでダンディな人物に近づこうと演技をしているのに、ヤン・ル・グイックの演出にはその演技を引き立てる個性も強さも見られない。舞台の上でひとりドレフュスが空まわりをしているような寂しさだけが残った。6/18日迄 80F/120F
* Theatre Moliere Maison de la poesie : 157 rue St-Martin 3e 01.4454.5300
● Escurial&Trois acteurs, un drame…
 ベルギーの劇作家ミシェル・ド・ゲルデロード (1898-1962) が30歳の頃に書いた二つの短い劇が続けて上演される。”Escurial” では王とその道化師の立場が次第に逆転していく、ベケットの世界にも似た不条理が描かれ、”Trois acteurs” では、駄作と評価された舞台の楽日の様子が皮肉たっぷりに演じられる。暗澹とした前半部から舞台はがらりと雰囲気を変え、賑やかな後半部に入るが、作家が北国の出身だからか、笑いの中にも冬の太陽が落とすような冷たくて小さな影が時々さしこむのが印象的。7/1日迄
* Studio Theatre : 01.4458.9858
●Pina BAUSCH
 「体の動きの美しさ」に重きを置く伝統的ダンスの価値観を壊し、人間のさまざまな感情を、観客が辛くなるほどぶつけてくるピナ・バウシュの作品。最近演劇色がますます強くなり、クラシックの基礎がないと決して選ばれないというカンパニーのダンサーたちが繰り広げる寸劇風シーンに、やや白けていたファンもいたのではないだろうか。今回の作品では演劇的要素は薄れ、情熱的なリズムに「ダンス」が弾み、喜びがほとばしる。彼女にどんな変化が起きたのか、新たなイメージの局面が広がる。お馴染みのメンバーではなく、新しいダンサーを多く登場させた1999年のクリエーション。見逃せない。予約は早めに。(仙)
6/16日~7/1 日 95F/140F
*Theatre de la Ville:
2 place du Chatelet 4e 01.4274.2277
Antoine et Catherine

Escurial&Trois acteurs, un drame…


 

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