男と女が出会い、惹かれ合い、一緒に時を過ごす時間が少しずつ長くなり、次第に離れられなくなっていく…。でも、これが本当の愛? 自分は本当にこの人を愛しているのか? と迷う時が必ず一度はある。カトリーヌ・バーガーの舞台劇『共鳴』は、こんな微妙な男女の恋愛感情を描く。揺れ動く2組の男女が互いの愛を確かめ合い本当に結ばれるのは、アリス (存在感のあるイザベル・カレ) が癌に倒れ、クレーム (久しぶりに登場した感のあるイレーヌ・ジャコブ) の父親が急逝してからのことだ。皮肉にも逆境や不幸が人間同志の絆を強くし、他人の痛みがはじめてわかるようになる。話の舞台であるニューヨークを意識したのか、演出のイリナ・ブルックは、シンプルに徹した舞台美術の中で役者の個性をうまく引き出すことに成功している。(海) *Theatre de l’Atelier : 1 place Charles Dullin 18e 01.4606.4924 5/28日迄 (火‐土/20h30 マチネは土/17h 日/15h30) 50F~220F ●Minuit chretien 少し季節はずれな話題ではあるけれど、フランスのどこかの家庭でのクリスマスイヴの晩餐が、現代の平凡なフランス人の仮面を剥いで本音を吐かせる名手、ティリーによって描かれ演出される。年老いた母親を囲んで二人の娘夫婦とその子供たちや友人が集まり、家庭的な暖かい雰囲気の中で晩餐が始まったのはいいけれど、アルツハイマー症にかかっている老婆いじめ、次女の夫の浮気、孫息子がホモだということ…など平和 (そう) な家庭の秩序を乱す一大事が次々と暴露されていく。 小さな家庭で交わされる会話には、誇張はあるにしてもごく普通のフランス人の価値観がぎっしり詰まっている。それを聞いていると、現代社会の問題 (同性愛、人種差別、老人介護、麻薬中毒) を、偏見だけで判断し軽々しい口をたたく人間がこの世にどれだけいることか、と恐ろしくなってくる。観客の中には自己の経験に重ね合わせて苦い思いを味わう人もいるだろう。これを残酷とするか、真実と呼ぶか…。ティリーの饒舌は止まるところを知らず、幕が下りるまで笑ったり身につまされたり、と観客は忙しい思いをすることになる。 リカちゃんハウスのような舞台装置もみもの。(海) *Theatre de la Porte Saint-Martin : 18 bd St-Martin 10e 01.4208.0032. 火‐土/21h マチネ土/18h 100F/190F ●De cause a effet 日本舞踊から舞踏へと移行した有科珠々 (ありしなじゅじゅ) は、1988年以来、フランスに在住して活躍している。今回の公演は98年に発表された作品で、「巨大な白い繭。孵化。それは動物?花?人間?彼女は成長する。ピアノの音を栄養として吸収しながら…」音楽は、フレデリック・テリゾー。 9日~13日/21h 14日/17h 100F *Sudden Theatre:14bis rue Sainte-Isaure 18e 01.4262.3500
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●La resonnance ●Minuit chretien ●De cause a effet |