アフリカ南部の儀式舞踊「マキシ」 Makishi, rituel et masque en Afrique australe

突然ではあるが、「どうしても」でない限りトイレには行かない方がよいだろう。そこはいまだに植民地時代を思わせる匂いが漂っている。国立アフリカ・オセアニア博物館は、紙のないトイレはもとより、建物全体の修復を文化省に要求した方がよいのではなかろうか。なにしろ、ここにはアフリカ・オセアニアから集められた、極めて充実したコレクションが並んでいるのだ。現在開催されている「マキシ」という儀式舞踊を紹介する特別展も素晴しい。「マキシ」は、アフリカ南部の内陸にあるザンベズ川地方一帯(アンゴラ、ザンビア、ジンバブエなど)に住む多くの種族の間で行われているもので、オランダ人地理学者ダペールも1686年出版の著作でそれについて触れている。
マスク、ダンス、ダンサー、役付けされた登場人物という意味を全部含む言葉「マキシ」は、先祖の霊に捧げられる儀式として新たに成人する男子が踊り、全員がそれぞれ異なった姿で役を演じる。例えば権力を象徴するのは、種族の先祖〈男根の帽子を被った息子〉のマスク。女性を表わすのは〈豊穰〉。〈泥棒〉、〈飲んだくれ〉、〈白人(!)〉といった道化や教訓じみた仮面もある。それから、特殊な役割を果たす〈ワニ〉のマスク。展示されているこれらマスクやコスチュームのかたわらには、昨年パリの世界文化会館で行われたパフォーマンスのビデオが流れ、それを見れば「マキシ」がどれだけの力強さを持つのかがわかるだろう。展覧会オープニング後の最初の数週間は、ジンバブエの村から招待されたマスク職人とその息子が、その場でマスクを作ったり、ムビラ(親指で弾くピアノ、アフリカ楽器の中でも特に素晴しい音を出す)を演奏していて、とても印象的だった。このオヴニーが出るころにはデモンストレーションが終わってしまっているのが残念。
ついでながら、トイレのある地階の水族館には、正真正銘、本物のワニがいるのでお見逃しなく。子供たちが大喜びすることだろう。(ヤン/訳 : 仙) 6/26日迄

*Musee National des Arts d’Afrique et
d’Oceanie : 293 av. Daumesnil 12e (火休)

Ojeikere展
 ナイジェリアの写真家OJEIKERE (1930年-) は、60年代初頭からマスメディア界で活躍する一方、68年よりナイジェリア国内の様々な文化を撮り続けている。その中の、撮影点数1000点を超えるという<Hair Style>シリーズから、約80点をセレクション。
ローライフレックス片手に、庶民の町角、オフィス街、祭り、社交界の集まりなどへ毎日足を運んでは、女性の頭部を徹底的にカメラに収めた。後ろと側面から撮影した髪形の写真には各々の名前─<扇><バケツ><耳に降り付ける雨>etc.─が添えられている。結われた形はほどけばそれまで、一度限りのはかなきもの。だがそこに美容師たちの素晴しい手仕事、豊かなイマジネーション、高い造形力が集約されている。私たちには模倣不可能な美的センスにはただ驚くばかりだ。彼らは何のてらいもなくヒョイっと(実際は積み重なる経験あってのことだが)自分の形にしてしまう。こうして結われた髪の毛は、誇らしげに、嬉しそうに、まるで息をしているようではないか。短命の造形作品がしっかりと記録され、無駄のないプリントが美しい。(仙)5/28日迄
*Fondation Cartier : 261 bd Raspail 14e
中国人Cai Guo-Qiang展、アルゼンチン人Guillermo Kuitca展も同時に開催。

●<Art Saint-Germain-des-Pr市>
5月25日の夕方、サンジェルマン地区にある120のギャラリーがオープニングパーティーを一斉に行なう。28日の日曜日も特別にオープン。
●菅井汲 (1919-1996)
1950年代にパリに来て、ヨーロッパやアメリカの国際美術展で数々の賞を受賞した版画家。80年代の作品。5/5〜6/17
Galerie Denise Rene rive gauche:196 bd St-Germain 7e

●Alexandra ATHANASSIADE (1961-)

朽ちた木片にナイフやドリルでかたちを加えた、具象と抽象の間をさまよう有機的なフォルムから、生の本質が伝わってくる。5/10〜7/8

Galerie Jean-Jacques Dutko:

13 rue Bonaparte 6e
●<Les peintres de l’ame>

19世紀末に展開し、薔薇十字団ともつながりを持つ「理想象徴主義」と呼ばれる芸術の流れ。Moreau, Denis, Claudelら約40人の作品を集める。6/25迄 (月休)

Pavillon des Arts : Forum des Halles

●ポンピドゥー・センターの2つの特別展

<Marcel DUCHAMP (1887-1968) : Eau & gaz a tous les etages>

最近遺族より寄贈された”Les Notes autographes de la boite verte (1934)” “Les Neuf Moules Malics (1914)” の2点を中心にデュシャンの作品22点。6/5迄

<Brassaai (1899-1984)>

夜のセーヌ川、カフェや町角の人々、パリの魅力を存分に写真に残したブラッサイの大回顧展。写真480点の他、立体、デッサンなど計530点の作品を展示。6/26迄 (火休)

●ブラッサイ展もうひとつ

彼いわく「落書きは僕らのプリミティブ・アートだ」。1935〜50年に制作された<Graffiti>シリーズ。5/27迄

Galerie Francoise Paviot:

57 rue Ste-Anne 2e

●Jean-Michel BASQUIAT (1960-88)

80年代ニューヨークのホープ、28歳で急死したバスキアの作品25点。6/17迄

Galerie Enrico Nvarra: 16 av Matignon 8e

●l’Art premier展

アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカの彫像やマスクを展示する部門を新設。以前は<l’Art primitif/原始芸術>といっていたが、差別を避けて<l’Art premier/原初 (?) 芸術>と呼ぶことにした。

ルーヴル美術館/Pavillon des Sessions: porte des Lions, quai des Tuileries

●<Les esprits, l’or et le Chamane>

スペイン文明上陸以前、紀元前1000年から西暦1500年の、アンデス地方北西の金や陶製の祭祀用具を展示。コロンビア、ボゴダ美術館所蔵の300点。7/10迄

グランパレ(火休)

●Sebastiano SALGADO (1944-) <L’exode>

紛争を逃れ、またより良き生活を求め、日々の生活を捨てて亡命者、難民、移民となった人々の姿を、この6年間40カ国をめぐって撮った写真300点。9/3迄

Maison europeenne de la photographie:

5-7 rue de Fourcy 4e (月火祝休)