“Devant un public, il n’a peur de rien, il est en état de lévitation (…) avec ce don inné de faire de vous presque automatiquement son spectateur.” |
「観客を前にすると、彼は怖いものなし。浮き浮き状態になるのです。あなたをほとんど即座に彼の観客にしてしまう、あの天与の才能で」と語るのは、1970年に “Tout peut arriver” という作品でファブリス・ルッキーニさん (47) を初めて映画に起用したフィリップ・ラブロさん。ルッキーニさんは、その後エリック・ロメール監督の作品に何回か出演、90年、クリスチャン・ヴァンサン監督の “La Discrete” で主演してスターの座に。 美容院の見習い、ピッツァの出前などで暮らしを立てながら演劇を勉強した、ガンバリ屋でもある。先日もテレビのトークショーに出ていたが、いつもながらにドングリ眼をキョロキョロさせ、口を得意げに小さくつぼめ、大作家の引用を散りばめながらの饒舌は止まるところを知らない。僕のまわりには “小ざかしい” と彼を嫌う人も多いが、この才気走った誘惑者のニーチェやセリーヌの朗読会 (パリのマドレーヌ座で) は超満員。(真) |