ロシアのクレープ、ブリニスの作り方を復習する。 Blinis

 ロシアから伝わった厚いクレープがブリニス。フランスでもクリスマスや新年になると、スモークサーモンの脇役として登場することが多い。7年前にこのコーナーで書いたことのあるブリニスのレシピを、復習してみよう。おとうさんがロシア人だったナタリーさんから教わった作り方で、そのふっくらとした柔らかさに思わずため息。 値段も高く、どこかクスリ臭い市販品が食べられなくなる。
 パン屋さんでlevure de boulanger と呼ばれる生イースト1個を買ってくる。5フランもしないはずだ。牛乳300cc を人肌に温める。そのうちの50cc で生イースト20 グラムを溶かし、さらに砂糖、塩をそれぞれ小サジすり切り1 杯加え、温かいところに 10分も置いておくと、細かい泡がいっぱい立ってくる。
 なるべく大きなボールにふるいにかけた小麦粉を350グラムとる。これでブリニスの大きさにもよるが、10枚ちょっと焼けるはずだ。真ん中をくぼませて、よく割りほぐした卵3個分の黄身と先ほどの牛乳+生イーストを加え、丁寧に混ぜ合わせる。残りの牛乳も少しずつ加え、最後に大サジ2杯分のバターを溶かして混ぜ入れれば、ドロリとした種になるだろう。ボール全体を布巾でくるみ、室温で2時間ほど寝かせます。
 燻製の魚やイクラなどをテーブルに並べ、さあ、焼くぞという時に、2倍ほどにふくらんだ種に、さっき使わなかった白身をしっかりと泡立てて加え、泡がつぶれないように優しく混ぜ合わせる。
 専用の小さなフライパンもあるが、ふつうのフライパンで十分。弱火にかけ、バターを敷いて、お好み焼きの要領で1センチほどの厚さに種を広げてから焼き上げ 、大きかったら四つに切り分ける。できあがったものは、布巾に包んで弱火のオーブンに入れて冷めないようにしておき、まとめて食卓へ。(実)
levure de boulangerは冷蔵庫の野菜ボックスで1週間ほど保存できる。


ブリニス・パーティー!
 さあ、友だちを招いてブリニス・パーティー。一人で焼くのは大変だから、みんなにも手伝ってもらって楽しくやりましょう。
 ブリニスにお供させたいものは、まずは魚の卵たち。お金持ちなら、キャビアということになるけれど、イクラがあったら十分すぎるくらいだし、タラコをふっくらと練り上げたタラマ taramaもうまい。わが家の子どもたちは、貧乏人のキャビアといわれるランプフィッシュの着色卵oeufs de lumpをおいしいおいしい、とブリニスに塗りつける。マスの卵も売っているが、これはプツプツしすぎ。
 次にほしいものは、燻製風味の魚たちで、一番手はもちろんスモーク・サーモン。少し値段が張るけれど、脂がよくのったスコットランド産があったりしたらバンザーイ。ユダヤレストラン兼食料品店の “Goldenberg” (7 rue des Rosiers 4e) まで出かければ、極上のチョウザメやウナギの燻製も売られているが、財布がすっかり軽くなってしまう。どこの魚屋でも見かけるサバの燻製も素晴らしいが、脂がのりすぎのことが多いので、ライムやレモンを絞りかけておくと身が締まってうまくなる。
 マリネされた魚たちも欠かしたくない。サケ、サバ、イワシなどのおろし身に塩をしてから半日置いておき、レモンやビネガー、オリーブ油をベースにしたマリナードに少なくとも半日漬ける。好みのスパイスやハーブも加えるが、前号に書いたアネットなどは欠かせない。
 以上のご馳走をブリニスといっしょに美しく並べ、生クリームとレモン を添える。コショウも忘れない。”Goldenberg” などで売っている、ユダヤ人が大好きなホースラディッシュの白いピュレもブリニスに合う。クルミを散らしたアンディーブのサラダも用意したい。
 飲み物は、ロシアならもちろんウオツカだが、シャンペンもいい。白ワインなら、辛口のムスカデ、フルーティーなリースリングやサンセールなど、お好みで。