真ん中にキッチンがある広い空間。 N° 443 1999-09-15 小学校の先生をしているコリーヌさんと、「マリー・フランス」誌の校正の仕事をしているブノワ君、ふたりが今年1月から住むアパートは、以前は事務所やアトリエばかりが入っていたというオフィス用の建物のなかにある。 78m2 の広いひと続きのフロアの中心にオープンキッチン、それを囲むようにして居間、仕事部屋、寝室などが配置され、それぞれが完全に仕切られていないので広々として気持ちがいい。部屋から部屋へ、家のなかをぐるぐるジョギングして走り回れそうなくらいだ。 最上階にフォトスタジオがあるその建物内の住人は、建築家、映画のセットデザイナー、弁護士、画家、歌手など自営業の人たちばかりで、もともと住居用ではなかったスペースを、それぞれが大改造して住んでいるのだそうだ。 「どんなふうに手を入れてもいいことになっているし、大きな音を出しても苦情は来ない。それに部屋の開放的なつくりもいい」と、とても気に入っているふたりだが、しいて難をいえば、物入れが少ないこと。引っ越して来てからこれまでに、いくつか棚を作ってしのいできた。手を入れたらもっといいアパートになるだろうとは思うが、本格的に工事をすると費用はかさむし、これからふたりでアパートを買う予定があるので改装はしないことにした。 もうひとつの難点は、アパートのある地区だ。流行りのバーやレストランが軒を並べる11区のオーベルカンフ通りから入ってすぐのところにあり、連日夜中まで続く喧騒でなんだか落ち着かない。次に住むとしたら、コリーヌさんが以前ひとりで住んでいた18区のような、たとえば行き着けのカフェにいくと顔見知りがいて、活気はあるが、どこか落ち着きもあり…という雰囲気のところがいいなあという。 アパートのなかで一番好きな場所はどこ?と聞いたら「キッチン」と、ブノワ君が答えた。彼は料理が大好きなのだそうだ。とても仲のいいふたり。次もここと同じくらい良い物件が見つかりますように。 (仙) 掘り出し物を見つけたい ●LA RUELLE ほんの数年前まで閑散とした道だった、といっても今では遠い昔。毎日夜更けまでこのオーベルカンフ通りに集まる若者たちはきっと信じてくれないだろう。次 々とオープンするカフェ、ブティック。エマニュエルさんのブティックも8月半ばにできたばかり。とはいえ、なぜかもうすっかりこの場所に馴染んでいる。 服、小物、アンティークの家具・オブジェなど、古いものと新しいものを取り混ぜて自由にチョイスしたものが並ぶ。若いデザイナーが作った服、100年前の フランス製レースのブラウス、インドやバリ島のエスニックな香りのする服や小物、アンティークのティーセットect.…。アクセサリーの種類も豊富で、 5Fのブレスレットから、一点物のネックレスまでいろいろ。蚤の市を何時間もかけて歩いたのと同じくらいの価値がありそう。きっと掘り出し物が見つかるだ ろう。 17歳の女の子がペイントしてくれた看板は、エマニュエルさんの自慢だ。(仙) *130 rue Oberkampf 11e 01.4806.7150 無休 12h-24h Share on : Recommandé:おすすめ記事 ヌイイ・シュル・セーヌに住む芸術家 ハンスさん流のシンプルで贅沢な暮らし Pierre Josse 世界を旅する写真家。 改装には苦労したけれど、結果には満足。 地下鉄Republique駅。54m2 。天井3.5m ルネさん方丈記。住まいは造船所。 地下鉄Filles du Calvaire駅。12m2 。家賃なし。 二つのアパートを一つのアパートに大改造。 地下鉄Jourdain駅。65m2。 家族構成が変わり、家を変えた。 Menilmontant駅。100m2(バルコニーを含む)。管理費約300euros。