アーティストのキム・ヨンヘさんが去年まで住んでいたのは、バスティーユ地区のアトリエ兼住居。ワンルームでトイレが外にあり、少々不便なところはあったが、50m2の部屋全体で仕事ができてとても気に入っていた。ところが契約期限が切れる数カ月前に、大家さんより契約更新不可能の宣告を受けてしまった。 出ていくことは決まったものの、そう簡単に次の住みかは見つからない。さっそくパリ市が持つアトリエへの入居希望の申請手続きをしたが、入居資格なしとの通知が届いた。区長さんや区の文化部などに嘆願書を書いては送り、そうする間にも時は過ぎていく…どうしよう…と思っていたら、入居資格なしというのは番号ちがいの別人だったと判明。契約期限の切れる半月前、去年の8月半ばギリギリで今の13区にあるアトリエへ入居が決まった。セーフ。
地上7階、全体で62m2のスペースには、アトリエ、寝室、キッチン、シャワールームにトイレがあり、これで家賃はなんと2800F。前の家に比べてずっと暮らしやすくなった。難をいえば、仕事場部分が以前より小さくなったため、作品の制作中、前ほどは思い切り後ろにさがって全体を眺められない。とはいっても、今のアトリエだって天井は高いし広さもかなりある。片側は全面ガラス張りで光は充分入るし、テラスもあって見晴らしは最高。
そこで制作中の作品を少し見せてもらった。新作の金魚のシリーズ、それから、透明感・浮遊感をいろいろな素材で表現しようという作品のシリーズ。現在、実際の展示に向けて試行錯誤を繰り返しているところだそうだ。 1カ月前から絵画教室を始めたという、とっても素敵なヨンヘさん。こんなに明るいアトリエで絵が描けるなんてうらやましい。私も習いに行きたくなってしまった。(仙) |
トルビアック駅から南東に広がるチャイナタウンはパリで一番規模が大きい。70年代に建てられた高層近代建築の巨大スペースを生かした大型レストランやスーパーが多い中、TANG FRERESはアジア食料品店のリーダー的存在。 |