あっと驚くカンヌ映画祭の賞。

 カンヌ映画祭の賞の結果って毎年物議を醸しますよね。今年も然りでした。審査委員長がデヴィッド・クローネンバーグというので、その “得体の知れないもの好き” の作風からいっても、一体どんな選考をしてくるのかヒジョーに楽しみでした。彼自身「サプライズを期待してくれ」みたいなことを言ってたようです。果たして、自分と共通項のある奇妙な映画を選ぶのか? はたまた正反対の、自分には真似のできないタイプの映画を選ぶのか? 結果は後者だったのですが…。

 

パルム・ドールに輝いた『Rosetta』


 下馬評は、P・アルモドバルがホモならではの優しさで女性の連帯を憧憬を込めて描いた『Tout sur ma mere』、J・ジャームッシュが、”葉隠” を座右の書とする殺し屋(フォレスト・ウィテカーがグー!)の話をセンス抜群の音楽にのせて綴った『Gohst Dog』、おじいちゃんの心なごむロードムーヴィー、D・リンチの『The Straight Story』、そして北野武の『菊次郎の夏』もまたチンピラ(たけし)と少年のハートフルな旅…といった辺りに集中していたのです。ここで注目しておきたいのは、みんな心優しい映画だってこと。あのリンチにも、あの武にも暴力シーンはない。タランティーノに代表されるひと頃のヴァイオレンスは陰を潜めたのか、封印されたのか?

 

審査委員長のクローネンバーグ


 で、あっと驚く賞の結果は、『イゴールの約束』ですでに評価を固めていたベルギーのダルデンヌ兄弟の『Rosetta』がパルム・ドール、フランスのB・デュモン監督『Humanite』が審査員グランプリ、そして、男優賞、女優賞とも両作品の主演陣に贈られ、唯一アルモドバルが監督賞に滑り込んだ。何故あっと驚く結果かという理由は、是非、両作品の公開時に我が目で確かめて頂きたい。超凄みのあるリアリティーなんです…。(吉)