登場人物たちの悩みは、自ら心気症を病むと告白する監督トリアーのそれでもあり、またこうしたすべての悪や病を抱える病院自身が監督の化身のように思えてくる。”BREAKING THE WAVES” で強く表現されていた宗教観(善と悪、生と死、天使と悪魔など)がここでも再び現われるけれど、トリアーは深刻になりすぎることを避けるかのように淡々と先へ進み、強弱のある独特のリズムでわたしたちに緊張を与え続ける。
テレビ用に撮影された(ARTEがすでにフランス語吹替え版を放映)シリーズだけれど35ミリで撮られているし、この狂気的迫力を感じるためにも劇場の大画面で見たほうがいい。第一作と合わせて9時間強の大長編の最後に A SUIVRE…「続く」が見えた時、ふーっと肩から力が抜けた。