想像のエクトメートル:ESTHER MAHLANGU 南ア女性クリエーターの希望の星 N° 412 1998-03-15 エスター・マハラングは、南アフリカのアーティスト、とりわけ女性作家にとってリーダー的存在である。彼女の存在は、J・H・マルタンが組織した1989年の「大地の魔術師」展で、初めて欧米に知られるようになった。 彼女の描く絵は、西欧の絵画の基準から外れるだろう。それはどちらかというと装飾絵画に属する。またこれは作家個人の独自な表現という西欧芸術の観点からも外れるだろう。というのも、これはジンバブエの地域に住む黒人民族ヌデベルの伝統を継承し、グループで分かち合われている文化的営みだからである。 過去、部族間抗争や西欧の植民地主義によって彼らは酷い迫害にあい、19世紀末にボーア人と戦い、破れて追放され流民となった苦しい過去を持っている。南アフリカ独立後、彼らの土地はホームランドに指定された。彼らは様々な弾圧と抑圧にもかかわらず、伝統的言語、習慣を失うことなく保ち続けてきた原住民族の一つである。 エスターが描く大きな壁画はヌデベルの女性たちが一年に一度、家をきれいに飾るために描き変える壁画である。この壁画は第二次世界大戦ごろ現われたが、簡潔なモチーフと明るい色彩、幾何学的な構成であり、そこに、強い民族的自己証明の徴と現代性がある。 その後受けた長い人種差別にも関わらず、独自の視覚言語を保ち続けているところに、ヌデベルの女性達の伝統を継承する意欲と創造性が感じられ、エスターのように世界中を駆け巡って壁画を描き続ける女性は、まさに希望の星である。 ところで、私のこのシリーズ批評は、この号をもって終了する。最後のコラムを女性作家で終えることができ、満足です。今まで愛読(?)して下さった読者の皆さん、ありがとう。また違ったスペースでお会いできるのを期待して、さようなら。 (kolin) *Musee national des Arts d’Afrique et d’Oceanie : 293 av Daumesnil 12e (M : Porte Doree) 4月27日まで(火休) Share on : Recommandé:おすすめ記事 【イベント】5 /18 ヨーロッパ 美術館の夜 – Nuit européen des musées 【美術展】ミリアム・カーン「連続する私の思考」展。 「マティス。カイエ・ダール、1930年代の転換期。」展 写真家アーウィン・ブルーメンフェルドにも苦難の時代があった。 ココシュカの、芸術家、人間としての成長を見せる展覧会。 フュースリー 夢と幻想の間で。