マクロン大統領は3月15日午後、アストラゼネカ製ワクチンの接種を「用心のため」一時停止することを発表した。オーストリアで接種後に血栓が発症して死亡した例、もう一人が肺塞栓症で入院したことを受けてオーストリアが3月7日に使用を中断したことを発端に、欧州の10カ国以上が停止を決めた。
欧州医薬品庁(EMA)は3月16日、会見を行い、接種と血栓との因果関係の検証を続けており、結論を18日(木)に出すとした。フランスはこのEMAの判断によって、接種を再開するかどうかを決める。
欧州には5千万人分のアストラゼネカ製ワクチンが納品されたが、血栓のケースは30件ほど。接種と血栓の因果関係も認められていないことから、停止を疑問視する声も多い。WHOは「ワクチン接種を停止する十分なリスクはない」、EMAは「接種の新型コロナ予防のための効果に比べ、リスクは微小」との見解だ。木曜の発表が待たれる。
フランスでは、アストラゼネカ製ワクチンの接種は2月6日に始められ、現在までに17万2千回分が接種された。
ただでさえワクチンを警戒する人の割合が高いフランスで、一部の医療関係者がアストラゼネカ製ワクチンの接種を受けることを拒否するなど信頼度は低かった。しかしファイザー製などに比べても(今までに10万回分)数も多いため、パリ首都圏が第3波に見舞われ、ワクチン接種拡大が急を要するなか、アストラゼネカ製の使用停止は大きな痛手だ。