家族だけで食べるときは、デザートはヨーグルトとか季節の果物ですませてもいいのだが、友人たちを招いたときには、フランスの主婦(夫)たちは、腕によりをかけてそれぞれ得意のデザートを作るものだ。子どもたちから「ママ(パパ)、またチョコレートケーキ作って!」などとせがまれると、うれしくて思わず目が細くなる。
clafoutis
最初にマスターしたいのはクラフティclafoutis。というのも、あらかじめ生地を用意するという手間がかからないからだ。クラフティといえば定番はサクランボ入り。28センチの型を使って焼いてみよう。バニラの香りをつけたりしたら、フランス人の友人たちからも拍手かっさいまちがいなし。秋になったらサクランボのかわりに洋ナシ。秋から冬にかけては、ラム酒にひたして柔らかくした干しプラムや干しブドウを加えれば、ブルターニュ名物のファールになる。いずれも、たねappareilは小麦粉+卵+牛乳がベースなので、その割り合いが多少変わっても作り方は同じなので、初心者にもおぼえやすい。
次にわが家自慢のデザート、といってもじつにシンプルなリンゴのタルト(コラム参照)です。これだけは、自家製の生地を使いたい。リンゴと砂糖以外になにも入らないのも、サクッと焼き上げられた生地のうまさをとことん味わってもらいたいからだ。アプリコットのタルトを焼くなら、アプリコットと相性がいいアーモンドクリームを敷いてから、アプリコットを、種をとった側が上になるように並べる。こんなふうにタルト作りに慣れてきたら、生地を空焼きするという手順が必要なイチゴのタルトに挑戦してみたい。イチゴとカスタードクリームの組み合わせの妙、そのうえ見ばえもすばらしい。最高のデザートの一つといってもいいだろう。
ノエルや誰かさんの誕生日には、ぼくはチョコレートケーキを焼く。それもハートの形をした型を使って雰囲気を出すことにしている。ヒイラギのひと枝で飾ったり、ろうそくを立てたりして食卓に出すと、歓声が上がる。小さめの型で焼いてもチョコレートやバターがたっぷり入っているので6人分以上はあるのがうれしい。(真)
Tarte aux pommes
リンゴのタルトは生地作りからはじまる。バター120グラムをさいの目に切って室温に置いて柔らかくする。小麦粉240gと砂糖大さじ1杯を大きめのボウルにとり、真ん中をくぼませて卵黄1個を落とし、さっと混ぜる。バターを加え、指先でそぼろ状になるまで混ぜ合わせ、水大さじ5杯ほどを加え、指先からはなれるようになるまでこねる。ボール状にし、ラップでくるんで冷蔵庫で1時間ねかせる。
冷蔵庫から生地を出してしばらく室温に置いてのばしやすい柔らかさになったら、調理台や食卓に小麦粉をさっと振り、生地にも粉を振って、めん棒やすりこ木を使って、丸く、厚さ3ミリほどにのばす。これをバターをぬった28センチの型におさめ、はみ出た分を切りとり、底をフォークでまんべんなくつっつく。バニラ砂糖sucre vanille2袋を振りかける。1キロ弱のリンゴの皮をむいて四つに切り分け、芯を切りとって5ミリから7ミリくらいの厚さに切り、少しずつ重なるようにしながら、放射状に並べていく。その上にシナモン少々を振りかけ、バターの小さなかたまりをちょんちょんとのせ、180度に合わせて熱くなっているオーブンへ。40分前後で、生地とリンゴにきれいな焼き色がついたらでき上がりで、冷ましてから味わいます。
Desserts qu’on aime
・カリッと焦げた砂糖の衣の下にカスタードクリームといえばクレーム・ブリュレ
・自家製のシューにチョコレートソースがかかったプロフィトロル
・チョコレート好きにはたまらないムース・オ・ショコラ
・レストランでも人気のパンナコッタ