ビストロで人気のクレーム・ブリュレに挑戦。 Crême brûlée

 砂糖が熱々にカリッカリッと焼き上げられている表面にスプーンを入れ、その下の、まだ温まっていない柔らかなプディングごと口に入れるときのコントラストの絶妙さ…クレーム・ブリュレが、この2、3年で、ビストロでの代表的なデザートになって人気を呼んでいるのがうなずける。このクレーム・ブリュレが得意な郵便配達のディディエさんに、レストラン〈フェルナン〉のシェフ直伝という作り方を教わった。
 ビストロによってはラベンダー風味や苦いアーモンド風味などと凝ったものもあるが、僕らは基本の(そして究極の)バニラ風味です。液体生クリーム400ccと牛乳200ccを鍋にとる。半分に割ったバニラビーンズ1本を加え火にかける。沸騰直前に火を止め、フタをして10分ほど置いておき、バニラの香りを煎じ出す。
 熱風循環システムがあるオーブンだったら申し分ないが、なかったらふつうのオーブンの目盛りを3(90度)に合わせて点火。
 ボールに卵の黄身6個をとり、砂糖80グラムを加え、泡立て器を使って全体が白っぽくなるまで混ぜ合わせる。ここへ先ほどの牛乳+生クリームを混ぜ入れる。これを4つの器に配分し、熱くなっているオーブンへ。1時間10分~20分ほどで焼き上がる。弾力があり、ナイフを刺してみて、先が濡れていないようなら、ちょうど焼き加減。
 一度冷ましておき(ここまで前日に用意しておいてもいい)、これから食べようというときに、表面にcassonadeという褐色砂糖を散らし、最強にしておいたオーブンの上火にできるだけ近づけ、表面がカラメル化するまで焼けば完成。この表面を焦がす作業、僕がよく行く定食屋では、ご主人が片手にクレームの器を持ち、工事に使うようなバーナーでやってしまう!(真)  


台所の本
●Larousse de la cuisine facile

 フランス語で書かれたフランス料理の入門書はないかしら、と探している人に最適の一冊。abricot、 agneau…とabc順に並んだ食材それぞれに、代表的な料理のレシピがいくつか紹介されている。手順もきちんとわかりやすく書かれているし、それぞれの料理のコツもなるほどとうなずける。すぐにも台所に立ちたくなるでしょう。そのうえ写真も適切。レシピの写真は、見かけだおしの凝った盛りつけではないし、焼き加減そのほかの見当がつけやすい。さまざまなソースやパイ皮の生地の作り方の項目の写真も、材料の堅さやとろみまでが感じられそうだ。(真)


Larousse社発行。320ページ/180F


●cassonade, vergeoise
 cassonadeは、砂糖きびcanne à sucreの搾り汁を煮詰めて結晶分を取り出したもので、精白糖にはない風味がある。ラム酒ベースのポンチには絶対に欠かせないし*、pain d’épices(ジンジャーブレッド)などにも入る。vergeoiseは、砂糖大根betteraveあるいは砂糖きびから作られる茶色の砂糖。湿った感じできめが細かく、黒砂糖のように味に深みがある。ヨーグルトに入れたりすると、たまらないおいしさ。487号で作った牛肉のビール煮などにも少量加えるといい。

*カリブ海風ポンチの作り方:小さなグラスにカソナード少々を入れ、ライムの搾り汁適量を加え、よくかき混ぜる。砂糖が溶けたら、ライムの小片を加え、透明なラム酒を注ぎ入れるだけ。

●ハロウィンのカボチャをどうする?
 フランスでもハロウィンが広まって、カボチャを作っている農家は大喜びだとか。こわい顔にくりぬかれたカボチャ、ハロウィンが終わったらさっそくスープです。

 カボチャはいくつかに切り分け、皮をとり、小さめに角切り。これだけでクリームスープを作るには量が足りないというのなら、ジャガイモ1、2個も小さく切っておく。セロリの茎1本、タマネギ1個はみじん切り。まずセロリ、タマネギをたっぷりのバターで炒める。軽く色が付いてきたらカボチャとジャガイモを入れ、水をひたひたに張る。ブーケ・ガルニを加え、塩加減をし、フタをして、ことこと20分くらい煮ていく。柔らかくなった野菜だけをとりだし、ミキサーにかける。ここへ野菜の煮汁を少しずつ混ぜ入れ、とろりとクリームスープ状になったらできあがり。おろしたナツメグやバター少々を加え、塩味を調えて食卓に。

 種も捨てない。さっと洗って水気を切り、塩をふって軽く煎ると、殻の中の白い実は、松の実に負けないうまさ。