11月11日、第1次世界大戦終結100周年記念式典で、60カ国以上の首脳を前にしてマクロン大統領は「愛国心は国家主義とはまったく別のものだ」とし、「フランスのために」倒れた兵士や市民を讃えた。しかし兵士たちが家族にあてた大量の手紙を読んでも、祖国のために戦っていることを誇るものは数少なく、家族との別離の悲しさ、毒ガスや砲弾への恐怖、負傷の苦痛などを語るものがほとんどだ。
冒頭の言葉は、作家アナトール・フランスのもので、大戦初期には愛国心をあおる文章を書いていたが、当時国の利益対立が生んだ戦争まい進の動きや莫大な犠牲者数を前にして反戦派になった。ドイツにアフリカなどの植民地放棄や巨額の賠償を求めているヴェルサイユ条約にも反対の態度をとった。