インターネットで署名をする機会が多くなった。でも、本当に効果があるのかと考える人は多い。その疑問にポシティブな答えを出したのが、自分たちの7カ月間の活動をドキュメンタリー映画 「Des Clics De Conscience (意識の切り替え) 」にしたジョナタン・アティアスさんとアレクサンドル・ルンブロソさんだ。
2人は、伝統的な農法で巨大な作物を収穫するメキシコの農家を見て衝撃を受けた。フランスの農家は自家保存した種子から栽培するのを禁じられており、公式カタログに載っている交配種を毎年買わなければならない。種子会社は儲かるが、農家の権利が制限される法律に疑問を持った2人が、農家が自家保存種子を植えられるよう、2015年6月にインターネットで署名運動を始めたところ、2週間で2万筆が集まった。これをどうするか。
署名に効力を与えるためには、国会議員に署名を提出し、署名の意図に沿った法案を出してもらうしかない。2人は、緑の党のジョエル・ラベ上院議員とそのアシスタントという協力者を見つけた。幸運にも生物の多様性法を審議する時期に重なり、最終的に7万5千筆集まった署名の要求の一部が法案の修正案として上院で可決された。2人はその後、市民が直接法案を出せるようにするための新たな署名運動を始めた。
市民が政治を動かす、希望に満ちた映画だ。(羽)