「ユートピア56」は、フランスにいる難民を支援するNPOだ。5月3日から、成人の難民と、児童社会福祉扶助局(ASE)に保護されていない子どもの難民を家庭に受け入れる「市民泊」の連絡網作りを呼びかけている。施設に入れない多くのエチオピア、マリ、スーダン、ソマリア、アフガニスタンからの人たちが、路上生活を強いられているからだ。
市民泊は、食と住の提供だけでなく、孤立しがちな難民と市民のあいだに人間的な絆を築くのが目的だ。難民申請をして滞在許可の受領証を得た人たちを泊めることは違法ではない。受領証所持の義務がない未成年者も泊めても違法にはならない。受領証のない成人や実年齢が未成年でなかった場合は、違法のリスク覚悟で泊めることになる。「ユートピア56」は宿泊提供希望者と面接を行い、どの希望者とどの難民を合わせたらよいかを判断する。宿泊期間は滞在許可が下りるまでで、人によって違う。連絡網はブルターニュやイル・ド・フランスから広げていく。市民の連帯が強いフランスならではだ。パリのポルト・ド・ラ・シャペルでは、道路に囲まれた隙間空間で、多くの難民がテント生活を送っていた。このような生活から抜け出して、受け入れ家庭が見つかる人がたくさん出てきてほしいと思う。(羽)