国際離婚が増え、日仏間では子連れで完全帰国する日本人の行動が問題視されるようになって久しい。子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」を日本が締結して10年になるが課題も多い。現在この問題に触れる仏・ベルギーの合作映画『Une part manquante また君に会えるまで』が公開中だ。監督はベルギー人ギョーム・セネズ。妻が蒸発した父親のドラマ『パパは奮闘中!』(2018年)で知られる気鋭だが、今回も子煩悩なパパ役をロマン・デュリスに託す。男性視点から家族問題を語る姿勢が現代的だ。
主人公はタクシー運転手。生き別れとなった娘との再会を願い東京に残った。そしてついに娘と思しき女の子がタクシーに乗ってくるが……。単独親権の日本VS共同親権のフランス。その慣習の違いを突きつけつつ、しっかりと血の通った感動の人間ドラマに仕立てた。デュリスの日本語の巧みさにも脱帽だ。(瑞)