SNCF(仏国鉄)トラブル続き
帰省客に大きな影響、批判爆発。

 多くの人が電車で帰省したクリスマス前後、鉄道の大規模なトラブルが相次ぎ、国営鉄道SNCFに対する不満が噴出している。高速鉄道TGVの路線拡大を優先した結果、設備の老朽化や職員の能力不足などが指摘されている上、負債も莫大。マクロン大統領は改革に意欲的だが、「聖域」SNCFに手をつけるのは容易ではない。

 一連のトラブルは12月1日、アヴィニョンやマルセイユなどを結ぶ南部の一部路線が、信号機の故障により5日間停止したことで始まった。3日には、パリ・モンパルナス駅でシステムが故障し、同駅発着の全列車が半日にわたり運転を見合わせた。

 クリスマス直前の土曜日で帰省ラッシュピークとなった23日には、パリ・ベルシー駅で、自由席の列車の切符を購入した乗客数が、列車の収容人数をはるかに超え、終日列車に乗ることのできない帰省客でホームがあふれた。満員になったとして、出発時刻前に発車した列車もあった。SNCFは「切符は数週間有効なので、混雑のピークは予想できなかった」と説明し、乗客の怒りに油を注いだ。

 Uターンラッシュの26日には、パリ・サン・ラザール駅で電気系統の故障が発生し、一時同駅発着の全列車が運行を見合わせた。復旧後も大幅な遅れが生じ、混乱に拍車をかけた。

 多くの乗客がこれらの混乱の様子を携帯電話などで撮影し、ソーシャルネットワークに掲載。「信じられない」「恥だ」などのコメントが相次いだ。こうした事態を受け、交通大臣は国鉄のギヨーム・ぺピ総裁に説明を求めるため、1月8日に緊急会議を開く予定。度重なる不祥事で、総裁を更迭するのではとの憶測も広がっている。

 国鉄の機能不全は長年指摘されている。SNCFは、国の政治的判断で、TGVの新路線や不要なTVG駅を次々に建設し、普通路線の更新やメンテナンスを進めてこなかった。2000年代に入り、路線の更新に重点を置くように方針転換したが、路線の平均経過年は33年にとどまっているのが現状。2013年にパリ郊外ブレティニ・シュル・オルジュで発生し死者7人を出した脱線事故は、線路のメンテナンスを怠ったことが事故原因だったことが分かっている。

 TGV建設を優先する政策は、職員の能力の偏りも引き起こした。労組大手CFDTはル・パリジャン紙に「TGVを敷設できる職員は多いが、メンテナンスをできる職員がいない。結果的に電気系統のメンテナンスをする能力のない職員がしたりしている」と話し、事実、老朽化以外の理由でのトラブルも相次いでいる。

 TGV路線の敷設などで膨らんだ債務は500億ユーロ。マクロン大統領は債務を減らし、さらに国鉄職員の特権的な年金制度も見直したい考え。しかし労組の強力な反発は必至で、歴代政権が避けてきた病巣に、持ち前の大胆さでメスを入れられるかが注目されている。(七)