リチャード・グード(75歳)というニューヨーク生まれのピアニストを最近になって知った。フランス公演も稀だから、昨年春に再発売されたベートーヴェンのピアノ曲全集を聴いて、その素晴らしさに驚愕したのはぼくだけではないだろう。
一曲一曲の性格と構成を深く把握しながらも、今そこで音楽が生まれているような臨場感、沈着でいながら生命感がみなぎり、柔らかく丸みを持った音色ながら一音一音がどこまでもクリアだから、低音、中音、高音の各声部が重なっていくのがきれいに聴きとれる。バックハウス、アラウ、ブレンドルらの全曲集と比べても遜色ない出来だ。
彼の音色で思い浮かべたのが、90歳過ぎまで名演奏を聴かせてくれたミェチスワフ・ホルショフスキの音。あとで調べたら、なんとカーティス音楽院でそのホルショフスキに師事しているのだ。
そのグードの稀なパリ公演は、ベートーヴェンのソナタ第28番、ベルグのソナタ第1番、そしてショパンのバラードや夜想曲、マズルカなど、彼の音楽性を反映しているかのようなみごとなプログラム。絶対に聴き逃せない。早めに予約!(真)
1月27日 11h。 30€/15€ (26歳未満)。
Théâtre des Champs Elysées
Adresse : 15 av. Montaigne, 75008 ParisTEL : 01.4952.5050
アクセス : M° Alma Marceau
URL : www.theatrechampselysees.fr