室内音楽の歴史の頂点にそびえる傑作の一つは、シューベルトが亡くなる数カ月前に作曲した、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2からなる弦楽五重奏曲だ。第一楽章は、五重奏曲ならではの力強さだけでなく、すみずみに琴線に触れるような繊細なパッセージがちりばめられている。第二楽章のアダージョは、チェロのピッチカートにのって、ヴァイオリンが朝の光を思わせるような美しいメロディーを歌いだすのだが、間近な死を意識した痛みと動揺が浮かび上がってきたりする。第三楽章のスケルツォでは民謡的な踊りがくり返されるのだが、ここでも二つのチェロの厚い響きが交響曲のような深さを生み出す。中間部のトリオには、これまでの生を回顧するような口調がある。シンコペーションのリズムが印象的な第四楽章は、次第に速度が高まり、五つの楽器によるたたみかけていくような迫力が圧倒的だ。
ほかにリヒャルト・シュトラウスのオペラ『カプリッチョ』の弦楽六重奏による前奏曲。演奏は、現代屈指のエベーヌ弦楽四重奏団にヴィオラのマチュー・エルゾーグ、チェロのブリューノ・デルプレールが加わる。(真)
15日11h(自由席)。35€/15€ (26歳未満) / 無料 (9歳未満)。予約は早めに。
Théâtre des Champs-Elysées
Adresse : 15 av.Montaigne, 75008 ParisTEL : 01.4952.5050
アクセス : M° Alma Marceau
URL : https://www.theatrechampselysees.fr