「ワクチンパス」法案の審議は、抗コロナワクチン接種の実質的な義務となるため難航が予測されていたものの、マクロン大統領の「ワクチン未接種者をうんざりさせたい emmerder」発言などもあって、可決は政府の思惑より遅れ、16日となった。 実際に適用されるのは、1月20日か21日あたりからになりそうだ。
ワクチンパスは、レジャー・文化施設、飲食店、イベント、中長距離の公共交通の利用、政治集会、感染リスクが高い場合はショッピングセンター(県ごとに判断)、などに必要となる。これまでは、テストの陰性証明か、6ヵ月以内の回復証明、ワクチン完了証明のうちどれかがあれば衛生パスを取得できた。しかしワクチンパスが適用されると、陰性証明は効力がなくなる。持病、体質などでワクチンを打てない場合は医師による証明書が必要。パス提示が必要な場所で働く人にも、接種が義務付けられる。
審議の争点のひとつは、飲食店のパスをチェックする人が、客のパスが疑わしいと思った際に、身分証明書の提示を要求することが可能か不可能かという点だった。上院では身分証明書の提示を求めるのは「不可」とされたが、その後、国民議会で覆された。
結局、身分証明書でなくても、公式で顔写真のついた書類(免許証や、カルト・ヴィタルなど)を提示すればよいということになった。しかし、市民が市民をチェックするということに抵抗を感じる人は多いようだ。
また、テレワーク義務を遵守しない企業に科せられる罰金が軽減された。現在、テレワークが可能な職種においては、週に3日または4日テレワークすることが義務付けられている。それを守らないと会社は社員ごとに、1000ユーロを科せられることになっていたのが、500ユーロに。
●「ワクチンパス」適用される人
・16歳以上に適用(保護者の承諾なしでワクチン接種する・しないを決められるのが16歳以上)。
・12歳~15歳は、現行の「衛生パス」を使用する。
●感染経験者
コロナに感染した人は、感染3ヵ月後からが接種期間。
2月14日までは、感染から7ヵ月以内に追加(3回目)接種をしないとパスが無効になるが、2月15日からは、その期間が4ヵ月と短くなる。
●罰則
他の人のパスを使うと、罰金1000ユーロ、偽造パスの場合は3年間の禁固刑と45000ユーロの罰金。複数の偽造パスを所持している人は、5年の禁固刑と75000ユーロの罰金となる。しかし「repentir 改心する」の道があり、反則から30日以内にワクチンを打てば「免罪」となる。