夜のパリ植物園。「コウモリの晩」*に行った。まず自然史博物館内でコウモリについてミニ講義を受けたら、100人ほどの参加者は小グループに分かれ、月明かりとランプを頼りに暗がりのなかへ順次出発。ここ植物園には、親指ほどの大きさのヨーロッパアブラコウモリとクールアブラコウモリが棲息しているという。
私たちグループの案内人は動物疫学者のフランソワ・ムトゥさん。彼の、コウモリが発する超音波の鳴き声をキャッチする探知機から、時おりキーキーッという音。パッと上空を見上げるけれど、姿は見えず。子どもたちは「見えた!」と大はしゃぎだが、私には2時間歩いても結局見えずじまい。池のカエル、ナメクジの行列、睡眠中のレッサーパンダには会えた。
哺乳類保護団体 SFEPMが主体となり、全国で300近いイベントを無料開催する「コウモリの晩」は今年で22回目。コウモリは世界で1400種、フランスでは34種が確認されていて、フランスは全種を法律で保護している。イベントは、コウモリにつきまとう、「病気を媒介」「血を吸う(そういう種類も中南米にはいるが)」などの誤解を払拭し、共存すべき動物であることをアピールする機会だ。毎年、コウモリの大好物の昆虫が多く、コウモリが活動的な8月末に行われる。(六)
「コウモリの晩」、こんな3時間半だった。
*Nuit des chauves-sours例年、原則的に8月の最終週末に行われる。他の時期に行う場所もあるので、サイトで確認。パリ植物園では、今年は8月25日(土)に開催。人気イベントで、サイトに申し込みの電話番号やメールアドレスが掲載されると、すぐに満席になってしまうというから、来年8月になったら要チェックだ。