古代ローマの時代、西暦1〜2世紀に建造された円形闘技場は、南仏ニームの観光の名所。ここに、2000年来住んでいるカタツムリたちがいるという。
闘技場の建造時に、または交易の際に、何かにくっついて古代ローマ人たちによりニームに連れてこられたカタツムリclausilie romaine たちの末裔。日本のキセルガイのような、1センチ強の細長い殻のカタツムリは、ほぼ2000年にわたって、子孫を絶やさずこの闘技場内で存続してきた。
このカタツムリは、移動して繁殖する力はさほど強くなく、1903年以降続けられている観察のなかでも、フランスではこの闘技場のみ、イタリアではアペニン山脈地帯でもローマ周辺で生息が確認されるのみだという。
闘技場は、1年ほど防水工事が続いていたが、カタツムリたちはその間、近くの町の生物学研究所Biotopに避難させられた。5旬節の闘牛が終わった今、2000年来の「棲家」に戻されたという。闘技場のメンテナンスには、化学除草剤などが使われるが、この古来の品種を保護するために手で草むしりをし、ある程度の草を残して住みやすい環境を整えるようになった。(六)