ナンシー甘いもの探索
ナンシーに着いたら、駅前のブラッスリー「エクセルシオール」に行く。帰りも、電車の時間までをそこで過ごす。アール・ヌーヴォーの都ナンシーの、一流の職人たちが造り上げた空間にはどれだけいても飽きることがない。壁から天井まで伸びるシダの葉のレリーフや緋色のカーテンに、なんとも甘美な心地にさせられる。
今回この店の 「トゥ・ナンシー(ナンシーすべて)」というデザートを知った。有名なナンシーのマカロン、ベルガモット、ここロレーヌ地方特産の果物ミラベルが使われている。聞けばナンシーはお菓子の町。かつてのロレーヌ公国の都に君臨した食いしん坊のスタニスラス公も一役買っているようだが、今も町全体がお菓子を文化財として大切にしている感がある。今回は、そんなお菓子をめぐる探索に出た。職人さんたちが日々、菓子を作り続ける工房は情熱に満ちていた。
甘いものの後は「ナンシー・テルマル」へ。着工から1世紀以上たって、今年オープンした温泉だ。ベルエポックに発足した100年越しのプロジェクトの経緯をひもといていると、このフランス東部の町の、意外な歴史を垣間見ることができた。(集)
取材協力 :
Destination Nancy
Agence Régionale du Tourisme Grand Est
ナンシー、甘いもの探索。
老舗ブラッスリー「エクセルシオール」で「ナンシーのすべて」を味わう。
この店に勤めて30年になるジャック・イルデンブラント料理長が創作したデザート 「トゥ・ナンシー」。マカロンと、ベルガモットの飴を細かく砕いてアイスクリームに混ぜ、ミラベルのソースをかけている。かつてポール・ボキューズ氏に師事し、「一つの皿に、3色3風味」と教わったというが、3つの風味が見事に調和し、色も、店の全体の色調と溶け合うようで美しい。
Excelsior :
50 rue Henri Poincaré 54000 Nancy (駅正面)
Tél: 03.8335.2457
Macarons des Soeurs
ナンシー銘菓の秘密、父から息子へバトンタッチ。
中世イタリアで生まれたマカロンは、1533年カトリーヌ・ド・メディシスがアンリ2世に嫁いだ時にフィレンツェの菓子職人がフランスにもたらし、各地で、それぞれの製法で作られるようになったという。ナンシーではベネディクト修道院で作られたが、仏革命で修道院から追い出された修道女ふたりが1793年、町に開いた店が「マカロン・デ・スール」だ。
ジェノ家はこの 「のれん」を継承した家としては4つ目になる。ニコラさん (右)の父親が、1991年に店の営業権を買い製法を伝授された。南仏のアーモンド、卵白、砂糖。だが、よその菓子屋の 「ナンシーのマカロン」とは違う。「それは企業秘密。私は父から習い、息子(写真左)に伝授しています」。ジェノ家の3代目が、200年以上続いてきたマカロンを未来に伝えてゆく。
Maison des Sœurs Macarons :
21 Rue Gambetta, 54000 Nancy
Tél:03.8332.2425
日休。月は14h-19h、火〜土は9h30-19h
▶︎【特集】ナンシーの甘い誘惑〈その2〉「サンテーヴル」製法を知る、唯一の菓子職人。
▶︎ オヴニー N°891
「アール・ヌーヴォーの町、ナンシーを歩く」特集号、在庫発送可能(2.5€/4.5€)です。
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Sœurs Macarons
Adresse : 21 Rue Gambetta, 54000 Nancy , FranceTEL : 03.8332.2425
URL : https://macaron-de-nancy.com/
日休。月は14h-19h、火〜土は9h30-19h.