Muttersholtz
アルザスには、前回紹介したウンゲルシャイムに負けず劣らずエコロジーの最先端をいく村がある。人口2200人のムッターショルツ(バ・ラン県)だ。セレスタの北7キロメートルに位置し、ライン川とイル川に挟まれた水資源の豊かな地帯にある。
緑の党のパトリック・バルビエ村長は2008年から現職。ソーラーパネルや水力で発電し、エネルギー節約にも力を入れる。また2014年に比べ、2016年の公共の建物でのガス使用量は三割減、電気の使用量は四割減になった。市庁舎は壁も窓も二重にして、夏は涼しく冬は暖房不要にした。
有機栽培を増やす政策も行っている。定年退職する農家から農地を買い、有機農業をしたい若い新規就農者に貸すのだ。環境教育は村の特徴の一つ。村のはずれの「自然の家」では、家族連れや学童に、食べ物の無駄防止や生物多様性について教えるのだが、村長さんが元教師だけあって、充実したものになっている。
建物の裏に1.5キロメートルの散歩道「サンソリエ」があり、10カ所に設置された説明文で地元の地形や水資源、植物について学べる。「オックマン」という地元の言い伝えにある妖怪キャラクターが道案内を務める。「自然を肌で感じてほしい」ので、靴を預けて素足で歩くのがミソ。(羽)