mRNA(メッセンジャーRNA)を発見した生物学者のひとり、フランソワ・グロ氏が2月18日、96歳で逝去。パスツール研究所で、ノーベル生理学・医学賞のジャック・モノの研究室に勤めていたところ渡米を勧められ、ハーバード大学ジム・ワトソン率いる研究室に入り、1961年にメッセンジャーRNAを発見。同時期に渡米したフランソワ・ジャコブによるmRNA発見と同時期となった。
1925年パリ生まれ。第二次世界大戦中はトゥールーズに避難。ユダヤ系だったため、何度も名前を変えたという。自伝によると、大学で医学部に登録しようと並んだ列が生物学部の列で、間違えて登録したのが生物学を始めたきっかけ。戦後、パストゥール研究所で抗生物質の研究に参加していた時は、バスで屠場へ行き、牛の筋肉、肝臓、膵臓(すいぞう)などをもらって研究室へ持って行ったなどのエピソードもある。
1976~81年パスツール研究所所長、79年から科学アカデミー会員。故フランソワ・ミッテラン大統領とも親交があり、社会党政権で科学顧問を務めるなどした。
パスツール研究所
https://www.pasteur.fr/fr/journal-recherche/actualites/decouverte-arn-messager-1961